中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

映画

暴虎馮河の勇 など

加来耕三『大警視 川路利良―幕末・明治を駆け抜けた巨人』(注)をたまたま地元の図書館で見つけて読んでみた。この本の中で、川路良利の受けた伝統的な薩摩の教育のなかで、「いろは歌」「歴代歌」「虎狩物語」など、藩が選定した歌や物語を暗唱した、と書…

『台湾、街かどの人形劇』

台湾の人形劇(布袋戯)の陳錫煌に10年間密着取材した話題のドキュメンタリーを、先日鑑賞。 machikado2019.com 祖父と同じく、彼の父・李天禄も「入り婿」であったために、長男である自分は父の姓ではなく、母方の姓である陳を継がなければならなかった。そ…

「東方大力士」査瑞龍など

日中戦争時、中国人向けの映画製作を軍部から依頼された川喜多長政が、自分は配給に徹し、製作のパートナーとして選んだのが、新進の新華影業公司をたちあげていた張善琨。百度百科の紹介によると、タバコ会社で広報の経験もあり、黄金栄を通して青幇にも加…

佐藤忠男『キネマと砲聲 日中映画前史』

以前にメモした、川喜多大治郎大尉がスパイ容疑で射殺された事件について興味をもって調べているうちに辿りついた本。川喜多大尉の事件については、石川忠雄の論文によりながら、冒頭に一章を割いて触れられていた。 それ自体についてはとくに新しい情報は得…

気になった時事系小ネタ

最近気になったいくつかのニュースをメモ。 1.全球功夫網による「当代伝統武術名家」選出。 全部で何人選ばれたのか、記事からはいまいちよくわからないけれど、トップには王世泉、張全亮、李秀人、楊林生、田京苗、王徳明の六名が入選している模様。選考期…

『ホテル・ムンバイ』、ブルース・リーのルーツなど

先日休みの日に映画でも観るかという話になり、それなら、ということでブルース・リーの描かれ方が物議を醸したクエンティン・タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を観たかったのだけれど、残念ながら時間があわなかった。それ…

李健吾、李新吾など

ウォン・カーウァイはあんまり好きではないので、『グランドマスター』もあんまりまともに見たことはないけれど、この作品に出てくる八極拳家「一線天」の原型は、劉雲樵と李健吾の「混合体」ではないか、などと言われる。 真实民国武林宗师:谁曾传功毛泽东…

脱線系・妄想系小ネタのフローアップ

1. アベンジャーズのエンドゲームが公開間近。アイアンマンのロバート・ダウニーJrが詠春拳を習っているというのは有名な話だけれど、アース・ウィンド&ファイアーのFBページに、ロバート・ダウニーJrが、ブギー・ワンダーランドのリズムにあわせて、詠春拳…

気になる武術映画

伝統武術に題材をとった映画二本の製作についての情報が流れてきた。 一つは査拳についてのもので、日中戦争の頃の、馬忠啓という老師の伝記映画のよう。タイトルはそのものずばり『査拳』らしい。 www.qqgfw.com 馬忠啓という人についてはあまり詳しい情報…

『春繍刀』など 

2018年にいくつか見た映画について。 1.『春繍刀』 邦題:ブレイド・マスター 『箭士柳白猿』が『ジャッジ・アーチャー』という邦題でラインナップされていた2014年の東京・中国映画週間で上映された作品。スケジュールの都合で見に行けず、その後ずっと気に…

金庸『碧血剣』、小前亮『李巌と李自成』など

追悼記念で、金庸の『碧血剣』を読んだ。 金庸の小説の中では比較的短編だけれど、主人公の武術修行、武林流派の確執、美男美女の複雑な人間模様、正義と悪が入れ替わるところなど、金庸小説のエッセンスは詰まっていて、自分としては充分に楽しめた。 碧血…

訃報 金庸、レイモンド・チョウ

中国武術そのものとは関係ないかもしれないけれど、中国武術やそれに結びついた文化を世界に広めるのに貢献したと思われる人物が二人、相次いでこの世を去った。 一人は武侠小説家の金庸。 10月30日に亡くなった。享年94歳。 news.dwnews.com 金庸については…

『武術の孤児』

10月28日、第31回東京国際映画祭で鑑賞。 上映はこの日を含む2回で、申し込みをした時点で、上映1回目(平日の夜)は満席、2回目(日曜日の午前)も残すところあとわずかというところだった。じっさい、日曜の早朝にもかかわらずほとんど満席の状態だった。 …

馮驥才『神鞭』『鷹拳』など

掲題の小説の日本語訳が古本で安く手に入ったので読んでみた。 〇『神鞭』井口晃 湯山トミ子訳 北京外文出版社 ------- 『神鞭』は天津の市井を題材にした「怪世奇談」三部作の一つで、のこる『陰陽八卦』、『三寸金蓮』(文庫版では『纏足』と改題)も邦訳…

邱海洋「电影《师父》:徐浩峰对师徒制的批判」など

全日本剣道連盟居合道部の昇段審査の金銭授受問題に関して、スポーツ人類学の田辺元氏の書いた文章が興味深かった。 synodos.jp この文章をヒントに中国武術のことを考えてみたときに、 中国武術において「入門」とは、ある学習者が、身内のもの、すなわち門…

「禿鷹」計春華

7月11日、計春華がなくなった。享年なんと56歳(注)。 出典:http://www.kwongwah.com.my/?p=543788 浙江省武術隊を経てスクリーンデビューは1982年の『少林寺』での「禿鷹」。あのころ20代になったばかりというのが信じられないけれど、不敵にニヤリと笑…

明清塩政と武術、張之萬など

中華武術網に滄州の広告会社がつくった滄州武術のプロモーション映像があり、そこに八極拳の呉鐘は河間塩運司の呉氏の子孫だと紹介されていた。 www.wushu520.com これは、呉氏の祖先の祚永公が明の永楽初に河間府滄州塩運分司運判に任じ、安徽の徽州府歙県…

タイタニック、太平輪の生存者と武術家の「水上功夫」?

イギリス人の映画監督、アーサー・ジョーンズが、タイタニック号の中国人生存者6人の行方を追ったドキュメンタリー「The Six」の予告編が公開されて話題になっている(らしい)。 tabi-labo.com www.youtube.com この記事を読んで、生存者のうち一人は武術…

さまざまな普及のかたち

4月6日カメルーンで開催されたアフリカ武術フェスティバルについて、グーグルから流れてきたのは中国外交部の報道だった。 驻喀麦隆大使魏文华出席首届非洲武术节 — 中华人民共和国外交部 中国は駐カメルーン大使が開幕式で祝辞を述べるなどの力の入れようで…

『ジャック・イジドアの告白』、『グレートウォール』、『桃源郷』など

『ブレードランナー2049』の公開にあわせて、2017年の暮れに、フィリップ・K・ディックの小説がいくつか新たに出版されていたらしく、地元の図書館の蔵書がいつのまにか増えていた。『ジャック・イジドアの告白』もそのひとつ。(『戦争が終わり、世界の終わ…

『イップ・マン 継承』『イップ・マン 最終章』など

公開時、見逃していた『イップ・マン 継承』を、先日アマゾンプライムの週末特典100円で先日ようやく観賞。 アクション的には、マイク・タイソン(そこそこ台詞もあって、役者っぷりも見事!)、売り出し中のマックス・チャンとの対決など見ごたえがあったけ…

「蕩寇風雲 God of War」など

倉田保昭が映画「蕩寇風雲 God of War」の演技で香港電影評論学会の最優秀男優賞を受賞したらしい。 倉田保昭が演じているのは、松浦藩の若頭を中核とする倭寇の軍師のような存在で、サモ・ハン・キンポー演じる兪大猷、チウ・マンチェク演じる戚継光らと対…

『Return of Bruce』、『Legend of the Condor Heroes』など

ブルース・リーが生きていれば77歳の誕生日を迎える11月27日前後に、「そっくりさん」主演の映画を含めて、いろんな情報が流れてきた。 なかでも印象に残ったのは、ブルース・リ(呂小龍)のReturn of Bruce (『忠烈精武門』) 出典:Rare Kung Fu Movie Web…

武術賽事の管理強化、ジャック・マーの『功守道』、「峨眉武術発祥の地」など

11月4日に開かれた雲南省武術協会の全体委員拡大会で、胡宝林が全会一致で主席に選ばれたらしい。 胡宝林といえば、自分が武術を始めた頃の現役選手で、四川の任剛とならぶ通背拳の名手だった。ライバル任剛は四川省武術協会の主任としてさまざまなアイデア…

橋本力、闞文聡、『刀背蔵身』など

ちょっと小ネタが集まったので、まとめてメモ。 1. 『ドラゴン怒りの鉄拳』のクライマックスでブルース・リーと戦い、かつ『大魔神』の(わけのわからない日本語だ(笑))橋本力氏が10月11日に逝去された。 『大魔神』三部作は、ブルーレイプレーヤーを買っ…

『西遊記2』など

人に誘われてツイ・ハークの『西遊記2』を観てきた。 www.youtube.com ツイ・ハークの映画は2008年から2010年の中国駐在中に『女人不壊』を観て以来。『女人不壊』は武術とは全く関係ない3人の女性が主人公の映画だったけど、当時観ていた金庸原作のドラマ…

弘文書院、大森体育会、中国体操学校とその関係者たち

1. 王潤生、不肖生、楊昌済、柳午亭、毛沢東など 清末の日本留学生の中に、湖南の「拳王」八拳の王潤生がいる。平江不肖生こと向愷然の「拳術見聞録」や「拳術伝薪録」では王志群と記されている人物で、帰国後は太極拳にも興味をもち、年下の呉鑑泉にも学ん…

于素秋、如来神掌など

先月のメモで、「七小福」のDVD化を強く望む、と書いたところだけれど、その数週間後に、「七小福」たちの師匠・于占元の娘で、七小福のメンバーが姉と慕っていた于素秋が亡くなっていたことがわかってびっくり。享年88才。 www.recordchina.co.jp 以下は…

『激闘!アジアン・アクション映画大進撃』

『ドラゴン・ガール』のメモの最後に、アジアのアクション映画が旬なのか?とメモしたら、数日後にこの本が出版されてびっくり。さっそく手にとってみると、充実した中身で(とくに、知野二郎「伝説の映画帝国、邵氏兄弟有限公司 ---その栄光と波乱の興亡史…

大学受験と武術2

中国の大学受験はこれから本格シーズンにはいるのかな。 「武術と民族伝統体育」専攻では、今年は新たに雲南民族大学が募集を行うらしい。 news.xinhuanet.com その名もずばり大学受験生向けの「高3ネット」によると、「武術と民族伝統体育」専攻があるのは4…