中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

2013-01-01から1年間の記事一覧

満江紅 2

「滄州通臂劈掛門」の動画に、満江紅がでてきたので(3'48”あたり)、とりあえずメモ。前にメモしたものと同じなのかどうか、俄かに判断がつかない。これも、歌にあわせながら練習するんだろうか。9'53”くらい、八極対接のあたりから、軽妙にアレンジされた…

内蒙古で宋代の少林拳譜を発見?

内蒙古で宋代の少林拳譜が見つかったという「中国新聞網」のニュース。さっそく「新華網」などのニュースサイト、「全球功夫網」など、中国武術のポータルサイトにも転載されているらしい。・・・でも、どっかで見覚えがあると思ったら、2011年の7月にほとん…

「大相撲に明日はあるのか」(内田樹『武道的思考』収録)

地元の図書館にあったというだけの理由で、あまり期待もせずに手にした『武道的思考』。内田氏のブログから編集者がピックアップしたということで、書籍にするのは正直どうなんだろうと思うような内容も含まれている気がしないでもないけれど、いくつかとて…

国家武術研究院が青年学者工作委員会を設立

国家武術研究院の下に、若手学者による委員会が成立。 知らない人たちばかりだけど、郭玉成の『中国武術伝播論』は北京オリンピック後の武術界について、いろいろな改革を提起した本で、とても勉強になった。と同時に、その後の動向が気になりはじめたという…

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか?』

話題の本をようやく読了。 かなりのボリュームだけど、読み始めたら一気に読めてしまった。寝技中心の高専柔道のことは、以前に読んだ松原隆一郎『武道は教育でありうるか』にも書いてあったけれど、この本を読んでさらに理解が深まった気がする。そして、高…

順徳詠春拳が「中国体育非物質文化遺産」に認定

佛山の詠春拳が内輪もめをしているさ中、順徳詠春拳が国レベルの「中国体育非物質文化遺産」として認定されたという、全球功夫網の記事(以下に全文をコピペ)。「中国体育非物質文化遺産」というのは、これまでこのブログでもメモしてきた中国文化部が認定…

『ロスト・イン・タイ』、『蔡李佛拳』など

3連休3日目、中国出張で買ったコメディ映画『ロスト・イン・タイ』(2012年の大ヒット作で、2013東京/沖縄・中国映画週間でも上映)を鑑賞。主演の3人のうちの、王宝強、どこかで見たことあるなあと思ったら、嵩山少林寺の在家弟子(俗家弟子)で、映画…

「詠春拳、少林寺に帰る」?

日本では『葉問 終極一戦』が公開中、イップ・マン人気はまだまだ続いているなか、中国では詠春拳をめぐって嵩山少林寺まで巻き込んで、ちょっとした問題が起きているようだ。東方早報の10月11日の記事をもとに、確認できたところを時系列的に並べてみる…

張大為『武林掌故』

出張時に北京空港内の書店で購入。 作者の張大為は、呉斌楼のお弟子さんで、体育関係の新聞記者として70年代に北京を中心に多くの取材をされたようで、この本はそれをまとめたものらしい。(ただし、それぞれの内容がいつ、どのような媒体に発表されたのか、…

梅花蟷螂拳 王衆勝老師

天山武林大会に関連した「全球功夫網」の記事(最後に全文をコピペ)のなかでの王衆勝老師のコメントが興味深い。青島で梅花蟷螂拳を伝える王衆勝老師は、特に道場を開いているわけでもなく、知人の紹介で弟子をとっており、弟子からはお金をとっていないと…

邯鄲学院国際太極文化伝播基地

表題に関連する二つの記事をメモ。最初の記事は邯鄲で「国際太極文化伝播基地」が設立したという「国際在線」の記事。 これは、中国国際ラジオと河北省の邯鄲学院の合同プロジェクトのよう。 中国国際ラジオでは、ラジオ孔子学院で中国の伝統文化を紹介、そ…

武術学校の現在2

武術網の記事。今年9月の新学期までに、安徽省合肥市では、最大20数校あった武術学校のほんどが閉校することになるという。これらの武術学校の多くは、90年代前後に作られたという。閉校の理由として記事が取り上げているのは一人っ子政策により子供の数が減…

武術のオリンピック競技種目化と段位制、孔子学院

第十二回全国運動会の記者発表における高小軍の談話に関する記事。段位制度に基づき「標準化」された武術を海外に普及してゆくことが、オリンピックの競技種目化と結びつけて語られているところが興味深い。そして、その鍵を握る普及経路として海外400箇…

ハルビン市の武術

出張でハルビンの中央大街からソフィア聖堂に歩いてゆく途中、たまたま、1920年に設立されたという「徳坤武術館」という看板を目にした。 帰国後、調べてみると、梅花太極蟷螂拳の曹徳坤という人が創った武術館らしい。2005年7月には、曹徳坤生誕110周年…

台湾の武術

台湾のテレビ局が作った、台湾に関するドキュメンタリーを二つyou tubeで発見したのでメモ。いずれも「台湾演義」という同じ番組らしい。※初めてyou tubeの動画を嵌めこんでみた。なんだかページのバランスが悪い気がするけど、仕方ないのかな・・・。1.台湾…

峨眉派武術の「掌門人」?

8月6日と7日に新疆で行われた天山武林大会に関する、成都の「華西都市報」の報道。 このイベントには、各派の代表が、武侠小説よろしく「掌門人」という身分で紹介されたことが話題になっているらしい。各派の掌門人が集う姿は、「中老年コスプレショー」と…

中国の武術人口

8月6日に北京で開かれた段位制度に関する記者発表会によると、中国全土における武術人口は約7000万人になるらしい。そのうち段位制に基づいて武術を練習している人(試験的に導入されている学校の学生の数を合計したもの?)は100万人で、うち段位保有者が25…

段位制の受験場所

しばらく段位制の動きをフォローしていなかったけれど、2012年の秋に、段位制に関して、受験場所(考試点)として323か所が発表された。 リンク先にあるリストは、「単位」と「名称」の対応関係がややおかしい気がするけれど、いちおう323か所が網羅されてい…

聶宜新編著『話説摔角与上海』

前半は、武術史の教科書にあるような「摔角」史のおさらいで、あまり新鮮味はなく、どちらかといえば退屈だったけれど、 後半から、上海における「摔角」の歴史が、関連団体や個人、トピックといった切り口から語られ、このあたりは面白かった。 それによる…

 ジェット・リーの娘がアイドルグループに加入?

あんまり興味がないので、全文の引用は避けるけれど、最近、レコードチャイナが「ジェット・リー、長女のSNH48入りを応援、メンバー選考委員の可能性も」という記事を配信した。娘というのは、現在の奥さんとの子供ではなく、前妻で元・北京武術チームの同僚…

沼野充義編著『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』

やや脱線するけれど、地元の図書館にあったので読んでみた。 この本の中で、ウォルター・J・オングの『声の文化と文字の文化』(未見)によりながら、「第一次的な声の文化」(まったく書くことを知らない文化)と「書くことに深く影響されている文化」の間…

保定市武術協会が八閃翻研究会を設立

保定武術協会が「八閃翻」研究会を設立したという「全球功夫網」の記事。 保定武协成立“八闪翻”研究会 全球功夫网 不系舟 日期:2013年05月13日 点击:1564780 全球功夫网讯 5月11日,保定市武术协会“八闪翻”研究会成立,将对“八闪翻”的传承、发扬将起到积极…

戚家拳

最近、汪国義、陳鐘華著『戚家拳』(湖南科学技術出版社)という本を入手した。 汪国義は、以前にメモした劉杞栄にも師事したことがあるらしいけれど、戚家拳自体の伝承経路についてはこの本の中では明確に記されていなかった。(ただし、斜め読みしただけな…

龔茂富『中国民間武術生存現状及伝播方式研究』

2013年4月に北京で購入(出版は2012年2月)。青城派武術の二つの伝承グループ、すなわち劉綏濱グループと何道君グループを対象に、その技術体系や収入・支出状況、青城山道教とのかかわりを具体的に記しつつ、武術行政における「体制外存在」としての民…

武當派武術の継承者

覃献平氏が湖北省文化庁より、省級無形文化遺産である武當(派)武術の代表的継承者として証書を授与されたという記事。覃献平氏は、趙剣英氏(故人)の息子。趙剣英は太乙五行拳の伝承者で、文化部が定めた国レベルの無形文化財の最初のリストの中で、武當…

富坂聰『中国を毒にするも薬にするも日本次第』

中国武術の本ではないけれど、アマゾンのおすすめのリストに出てきて、レビューの評価もよかったので読んでみた。バランスのとれたよい本だと思う。 日本人は早く「中国ストレス」に慣れ、中国が国内問題に足を救われて没落することが日本の再浮上につながる…

李仲軒口述 徐皓峰整理『逝去的武林』

前回『倭寇的踪跡』についてメモしたとき、『逝去的武林』について触れ、一年ほど前に以下のメモをしていたことを思い出した。 ずっと「下書き」のまま放置していたけれど、これを機会に一部内容を見直して公開。 なお、徐氏は、徐浩峰が本名で徐皓峰はペン…

『倭寇的踪跡』

徐浩峰監督、主演は『黄河大侠』の于承恵。内山書店にもDVDを売っていて気になっていたのを、北京で入手。監督の徐浩峰は、実は数年前に話題になった、形意拳家・李仲軒が民国時代の天津の武術界のことを回想する『逝去的武林』で李仲軒の口述の整理をし…

大連中国武術文化博物館

大連で、武術文化博物館建設の定礎式が行われたという全球功夫網の記事。記事によると、投資予算は6,000万元で国内最大規模ということだけれど、以前に報道されたいた河南省で建設中の少林武術博物院は投資額2.3億元、天津の霍元甲武術館が3億元ということだ…

江西字門

陝西省武術協会のホームページに、なぜか以下の記事が引用されていた。江西民间传统武术揭秘 http://www.sxwushu.cn/space/?action-viewnews-itemid-782この簡単な記事によると、江西省から広がった伝統流派としては字門拳、硬門拳、法門拳があるという。 も…