中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

太極拳

文化と自然遺産の日

6月10日、中国は「文化(遺産)と自然遺産の日」だったらしく(注)、各地で行なわれたイベントの中には武術に関連するものもあったようで、検索するといくつかの関連記事がヒットしたので、いくつか気になったものをメモ。(順番には特に意味無し。) (注…

「約架」事件

GW前後、中国武術関係のニュースでは、「雷公太極」の魏雷とMMAの徐暁冬の勝負についての話題で持ち切りだったけれど、中国武術協会が果し合い(約架)などの「違法行為」に反対するという強い声明を出し、かつ徐暁冬のウェイボーのアカウントの閉鎖など、個…

張山の語る中華人民共和国の武術

北京体育学院の武術系を卒業し1965年に国家体育運動委員会の武術処に配属された張山の『武林春秋』は2012年に人民体育出版社から出版されている。 zigzagmax.hatenablog.com 600ページにも及ぶ大著のようで、とても興味があるのだけれど、いまだ入手する機会…

緊那羅王はどこにいった

何度かメモしているけれど、少林武術が信仰の対象にしている「緊那羅」王、もともとは音楽神であり、本来、武神であるべきは似た名前の「那羅延」であるという説がある。(那羅延は那羅延執剛神ともいわれ、阿形、つまりは仁王様の一方。) zigzagmax.hatena…

張宝瑞編『北京武林軼事』

1989年から1990年にかけて、北京体育学院に留学中に、何となく買った本。当時はこんな本を読む語学力などなかったものの、たまたま部屋に遊びに来てくれた担任の呂先生が「おっ、いい本読んでるじゃないか」といってくれたのがうれしくて、留学時代の思い出…

李想白「支那に於ける「國術」の流派に就て 」など 国会図書館デジタルコレクション2

先日、国会図書館のデジタルコレクションを調べたとき、あまり意識していなかったけれど、検索範囲が「インターネット公開」となっていたようで、検索範囲を、「図書館送信資料」に広げて検索してみたら、違うものがヒットした。個人PCではアクセスできない…

佐久間貞次郎『支那風俗春秋』など 国会図書館のデジタルコレクション

国会図書館のデジタルコレクションの中から、気になったものを今後の参考のためにメモ。 1.佐久間貞次郎『支那風俗春秋』 「五十一 国術」 キーワード「国術」で検索していくつかヒットするなかでほとんど唯一興味深いもの。 著者の佐久間貞次郎は回教研究が…

“2O16伝統武術年度人物”など

中華伝統武術連盟なる組織が立ち上がったというニュースを見て、関連情報を調べているうちに、「2016伝統武術年度人物」が選出されたという別のニュースを見つけたので、二つあわせてメモ。 1.中華伝統武術連盟 10月2日、河北省固安に108門派の300人あまりが…

太極拳の「自選」競技と「規定」競技

全日本武術太極拳選手権大会の大会パンフレット(2016年の7月に開催された第33回のもの)によると、武術競技の世界で、従来の自由演技に対して、「武術の国際化の流れのなかで、各国の選手の技術の向上を促進し、また、審判をより合理的に行なうために」、統…

中国武術発展五年計画(2016-2020年)

国家体育総局のウェブサイトに、「中国武術発展五年計画(2016-2020年)」の発表に関する記事が掲載された。 国家体育总局 この電子メモ帳は2011年にはじめていて、武術運動管理中心の年度計画については過去にも何度かメモしたこともあるけれど、こういう複…

河南省の非物質文化遺産

省レベルの非物質文化遺産のなかで、まだチェックしていなかった「武術大省」河南省の状況を確認していたら、「武術河南」というサイトが立ちあがっているのを見つけた。 ◎武术河南 ※トップページのタイトルの脇には「試運行」の文字も。 国と省レベルの非物…

「シンクロナイズド太極拳」?

SNSで、麗江で行われた競技の「双人南拳」という競技の動画が流れてきた。これが個人的には衝撃的だったので、調べてみたら双人競技は、南拳のほかに、太極拳もあり、youtubeなどには、2014年の競技の動画も出ている。 ◎2014年の全国武術套路錦標賽における…

「引進落空」など

王宗岳の打手歌に「引進落空合即出」と出てくることもあり、「引進落空」という言葉は太極拳をやる人の間ではかなり知られているように思われる。「引進落空」は、人民体育出版社の『中国太極拳辞典』でも、太極拳に特色のある技法として紹介されている。(…

温州武術博物館など

浙江省温州に2016年2月、武術博物館が開館するという記事。 www.wz.zj.cn 温州と武術の関係がすぐにピンとこなかったので調べてみると、以下の記事に次のような記述があり、歴代の武挙の人材を輩出していることがわかる。 从现存历史资料看,温州武术的全面…

李氏家譜関連の動画

太極拳の起源とも関係のある河南省博愛県李氏家譜に関連して、youtubeでたまたま二つの動画を見つけたのでメモ。 一つ目の動画は、北京師範大学(いまは北京大学?)の趙世瑜教授が、現地で調査をしている様子とおもわれる。 www.youtube.com 後半の方でカメ…

ヘラクレス、執金剛神、緊那羅王など

東京国立博物館に、『始皇帝と大兵馬俑』展を見に行ったついでに、東洋館で常設展を見ていたら、イラクのハトラから出土したパルティア時代のヘラクレス像に以下のような解説がついていた。 ヘラクレスはギリシア神話最大の人気者で、大神ゼウスと人間の子ア…

tiger soldier など

先日、kung-fu tea というサイトで、tiger soldierについての記事を読んだ(といっても、ポップアップの翻訳機能を使いながら斜め読みしただけ)。アヘン戦争の頃、外交団に随行して中国各地を旅行したイギリス人画家のイラストや、写真のなかにでてくる、虎…

馬剣編著『燕趙武術』

先日『燕京武術』を読んだ勢いで、同じシリーズの『燕趙武術』を読んでみた。こちらは、河北省を中心に流行している武術についての紹介で、DVDの収録内容としてクローズアップされているのは楊式太極拳、八極拳、翻子拳。DVDの演武者は、いずれも編著…

内家とか外家とか

武術の「常識」といわれていることも、いろいろ遡って考えると、実はよくわからないことも多い。 中国武術は内家拳と外家拳に大別されるという考え方も、その一つのような気がする。 以下の動画は、そもそもどういう目的で作られたものか、よくわからないけ…

天津市の非物質文化遺産

無極拳(無極武術)についてのニュース(最後にコピペ)を見たので、天津市の非物質文化遺産について、天津非物質文化網で調べてみた。このページは、天津市の国レベルの非物質文化もあわせて紹介されていて、わかりやすい。 ■ 独流通背拳 独流は地名 。「太…

于志鈞『中国伝統武術史』、『太極拳史』

昨年、于志鈞の『太極拳史』を読み終えたあとに、勢いにまかせて同氏の『中国伝統武術史』もあわせて読んだ(注1)。要点だけでもすぐメモしておきたかったのだけれど、なかなかまとめらなくて放置してあったメモを改めて読み直して少し整理してみた。于志鈞…

南方週末『一个家族和一门绝艺 陈家沟陈氏太极拳断而复续的故事』

去年の9月、南方週末にこんな記事が出ていたなんて気がつかなかった。とても貴重な記事なので長いけど全文を保存。毛沢東語録拳については、以前に北京体育学院の「武術革命」戦闘隊が、南口鉄路機械厰の労働者の協力を得ながら「毛沢東語録拳」と「毛沢東…

焦作猿仙通背拳

you tubeでたまたま見つけた動画。 6分15秒くらいのところから、はじまる型が、陳式太極拳にそっくりなのが面白いと思ったのでとりあえずメモ。動画の後半では動作の解説をしているけれど、「懶扎衣」、「金剛搗碓」などと言っているようにも聞こえる。こ…

武林奇侠か江湖騙子か2

李経梧の生誕100周年の行事が北戴河で開催された。同時に開催されたシンポジウムで門人たちは「太極拳を妖魔化した」閻芳を除名すると発表(全球功夫網の関連記事1、2。 弟子たちはそれによって「国粋の尊厳を守り、一門の濁流を洗い流す」としている。…

武林奇侠か江湖騙子か

李経梧太極拳の伝承者だという閻芳女史の推手の動画が話題になっているようだ。(標題は、武術世界に転載されている記事のタイトルを前後入れ替えたもの。)全球功夫網、武術網、武術世界などのポータルサイトにはこれを「詐欺だ」と批判する文章が掲載(転…

「太極拳発源考論」(鄭州大学体育学院中原武術文化研究中心HPより)

中原武術文化研究中心に掲載されている論文。なにかの手違いで、作者の名前が落ちてしまっているようだけど、鄭州大学体育学院中原武術文化研究中心の研究者と、南京大学歴史学部の研究者が共同で執筆したもののようだ。 少し前にメモした王広西氏の論文では…

王広西(陸草)「論中原武術文化」

以前、王広西の『中国功夫』についてメモしたとき、王氏が所属している鄭州大学武術文化研究中心については詳細がわからなかったのだけれど、 最近、中原武術文化研究中心というHPを見つけた。この研究中心は正式には鄭州大学中原武術文化研究中心といい、…

甄子丹『問・丹心』

甄子丹(ドニー・イェン)の自伝。 最近「武侠」(「捜査官X」)を観て、そういえば1月の中国出張のとき、広州の空港で買っていたことを思い出して読んでみた。幼少の頃の母との武術修行のことや、北京での武術修行のことが詳しく書かれているのかと思った…

陳崢『太極拳の源流を求めて −十三勢套路の発見−』

李自力老師の本とともに地元図書館で発見。河南省博愛県の李氏家譜など、最新の研究動向も視野にいれつつ、太極拳の起源に迫ろうとした、かなり野心的な研究で、史料の読み方など、なるほどと思う部分もあるのだけれど、ところどころ、結論だけが示されるの…

李自力『日中太極拳交流史』

李自力老師の博士論文をベースにした著作。第2章では、中華人民共和国において、太極拳の「普及」と「競技化」がすすめられるなかで、太極拳の本質が徐々に失われてゆくことに対して、率直な不安が記されている。 自ら書かれているように筆者はJOCの強化チー…