中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

現代中国武術事情

『中華武術急先鋒』出版

湖南省で、ルポ『中華武術急先鋒』の出版記念会が開かれたという記事。作者は湖南省の新化(「武術之郷」の一つでもある)で青少年に対する武術の普及に努めている青年武術家・作家の游罡華。 中身を読む前に判断するのは失礼かもしれないけれど、文字通りの…

『少林很忙』

米国人、マシュー・ポリーの書いた『American Shaolin』の中国語訳が『少林很忙』として中国国内で出版されて物議を醸しており、少林寺が声明を出したという新華網の記事。少林寺は、マシュー・ポリーは混同しているが、「少林寺」や「武僧」を語る武術館、…

広東省の省級非物質文化遺産

広東省で非物質文化遺産の第4次リストの代表的継承者が「公示」され、省内の9つの武術団体が、詠春拳の代表的継承者の人選について異議を唱えたという、8月27日付けの南方都市報の記事。ちょっとわかりにくいけれど、第4次リストはすでに2013年11月には公…

南京ユースオリンピックなど

南京で開催されたユースオリンピックにあわせて、「南京2014武術比賽」という武術競技が行われたらしい。2008年の北京オリンピックにあわせて行われた武術競技と同じく、ユースオリンピックの正式競技の一つではなく、別枠という位置づけらしいけれど、IO…

国際競技用刀術

国際競技用のいわゆる第三套路というのが2011年12月に作られている。日本連盟は最近この第三套路のための、指導者用講習会を開いたりしているようだけれど、たまたま、刀術の第一套路から第三套路までのテキストを見比べてみて、「点刀」、「崩刀」といった…

南方週末『一个家族和一门绝艺 陈家沟陈氏太极拳断而复续的故事』

去年の9月、南方週末にこんな記事が出ていたなんて気がつかなかった。とても貴重な記事なので長いけど全文を保存。毛沢東語録拳については、以前に北京体育学院の「武術革命」戦闘隊が、南口鉄路機械厰の労働者の協力を得ながら「毛沢東語録拳」と「毛沢東…

首届全国武術運動大会

掲題の運動会が、8月8日(北京オリンピックの開幕の日で、日本の「体育の日」のようなもの)、天津で開催されるという記事。 2011年の暮に、武術運動管理中心が12月20日付で2012年度方針を発表した際、第一届全国武術運動会を開催する、と書いてあった。2012…

武術の郷における段位制普及についての指導意見

7月11日、国家体育運動総局の武術運動管理中心が、全国の「武術の郷」に対して、段位制度の普及に関する「指導意見」を発表した。どの程度の強制力をもつものかはわからないけれど、今後10年間、毎年少なくとも100名の指導員を養成し、5回以上の研修を開催し…

『高手在民間』

『高手在民間』というテレビ番組の撮影がスタートし、記者発表が行われたという新華網の記事。 両義点穴神拳、八門拳、崑崙派、陰陽八式、蔵武門礼儀扇、龍吟剣などなど、紹介してゆくことになるであろう流派の名前が聞きなれないものばかりでちょっと面白か…

全国武術推広与発展検討会

天津で武術の普及と発展に関するシンポジウムが開催されたらしい。詳細はわからないけれど、とりあえずメモ。健康促進、型競技、格闘技、古武道として・・・武術との関わり方はいろいろあるけれど、全体とし盛り上げようという意識がないと、どんどん蛸壺化し、…

仏山市の武術事情

広東省仏山市でおきた訴訟事件に関する報道。夏休みを利用した20日間のコースに参加中、「対打」の練習で怪我をした学生の親が、安全義務を怠ったとして、老師と、直接の怪我を負わせたと思われる学生3名を起訴。一審の判決は、老師に10.6万元の経済的損失と…

2014全国武術段位制推広工作会議

掲題の会議が4月24日に開催された。 段位制普及のための十年計画については、年頭にも高小軍が言及していたけれど、いよいよ起動するということか。 それにしても1998年から2011年にわたる試行期間を経て正式にスタートした段位制、さらに3年の一部学校での…

武術進校園2

最近、江蘇省が全国に先駆けて武術を小学校・中学校の体育の必修科目にすることを盛り込んだ義務教育の体育の授業の実施法案を発表したけれど、以下の記事によると、教師の育成がおいついていないようだ。さらに、「旭日東昇」や「英雄少年」(記事では「武…

第七次全国武術工作会議

第七次全国武術工作会議が開催されたらしい。関連する3つの記事をコピペ。 今回の会議は中国武術協会の第10回会議をかねていて、ここでは幹部の代替わりがあったようだ(二つ目に引用した全球功夫網の記事に名前が出ている)。 全国武術工作会議における…

段位制普及と地方拳種の保護

久しぶりに武術運動管理中心・中国武術協会のHPを覗いてみて、二つの記事が目を引いた。一つ目は、2013年末に開催された全国段位制工作会議に関する報道で、各地の官方武術組織のHPにも転載されている。段位制の2014年以降の普及に関しては、学校におけ…

内蒙古で宋代の少林拳譜を発見?

内蒙古で宋代の少林拳譜が見つかったという「中国新聞網」のニュース。さっそく「新華網」などのニュースサイト、「全球功夫網」など、中国武術のポータルサイトにも転載されているらしい。・・・でも、どっかで見覚えがあると思ったら、2011年の7月にほとん…

国家武術研究院が青年学者工作委員会を設立

国家武術研究院の下に、若手学者による委員会が成立。 知らない人たちばかりだけど、郭玉成の『中国武術伝播論』は北京オリンピック後の武術界について、いろいろな改革を提起した本で、とても勉強になった。と同時に、その後の動向が気になりはじめたという…

順徳詠春拳が「中国体育非物質文化遺産」に認定

佛山の詠春拳が内輪もめをしているさ中、順徳詠春拳が国レベルの「中国体育非物質文化遺産」として認定されたという、全球功夫網の記事(以下に全文をコピペ)。「中国体育非物質文化遺産」というのは、これまでこのブログでもメモしてきた中国文化部が認定…

「詠春拳、少林寺に帰る」?

日本では『葉問 終極一戦』が公開中、イップ・マン人気はまだまだ続いているなか、中国では詠春拳をめぐって嵩山少林寺まで巻き込んで、ちょっとした問題が起きているようだ。東方早報の10月11日の記事をもとに、確認できたところを時系列的に並べてみる…

梅花蟷螂拳 王衆勝老師

天山武林大会に関連した「全球功夫網」の記事(最後に全文をコピペ)のなかでの王衆勝老師のコメントが興味深い。青島で梅花蟷螂拳を伝える王衆勝老師は、特に道場を開いているわけでもなく、知人の紹介で弟子をとっており、弟子からはお金をとっていないと…

邯鄲学院国際太極文化伝播基地

表題に関連する二つの記事をメモ。最初の記事は邯鄲で「国際太極文化伝播基地」が設立したという「国際在線」の記事。 これは、中国国際ラジオと河北省の邯鄲学院の合同プロジェクトのよう。 中国国際ラジオでは、ラジオ孔子学院で中国の伝統文化を紹介、そ…

武術学校の現在2

武術網の記事。今年9月の新学期までに、安徽省合肥市では、最大20数校あった武術学校のほんどが閉校することになるという。これらの武術学校の多くは、90年代前後に作られたという。閉校の理由として記事が取り上げているのは一人っ子政策により子供の数が減…

武術のオリンピック競技種目化と段位制、孔子学院

第十二回全国運動会の記者発表における高小軍の談話に関する記事。段位制度に基づき「標準化」された武術を海外に普及してゆくことが、オリンピックの競技種目化と結びつけて語られているところが興味深い。そして、その鍵を握る普及経路として海外400箇…

台湾の武術

台湾のテレビ局が作った、台湾に関するドキュメンタリーを二つyou tubeで発見したのでメモ。いずれも「台湾演義」という同じ番組らしい。※初めてyou tubeの動画を嵌めこんでみた。なんだかページのバランスが悪い気がするけど、仕方ないのかな・・・。1.台湾…

峨眉派武術の「掌門人」?

8月6日と7日に新疆で行われた天山武林大会に関する、成都の「華西都市報」の報道。 このイベントには、各派の代表が、武侠小説よろしく「掌門人」という身分で紹介されたことが話題になっているらしい。各派の掌門人が集う姿は、「中老年コスプレショー」と…

中国の武術人口

8月6日に北京で開かれた段位制度に関する記者発表会によると、中国全土における武術人口は約7000万人になるらしい。そのうち段位制に基づいて武術を練習している人(試験的に導入されている学校の学生の数を合計したもの?)は100万人で、うち段位保有者が25…

龔茂富『中国民間武術生存現状及伝播方式研究』

2013年4月に北京で購入(出版は2012年2月)。青城派武術の二つの伝承グループ、すなわち劉綏濱グループと何道君グループを対象に、その技術体系や収入・支出状況、青城山道教とのかかわりを具体的に記しつつ、武術行政における「体制外存在」としての民…

武當派武術の継承者

覃献平氏が湖北省文化庁より、省級無形文化遺産である武當(派)武術の代表的継承者として証書を授与されたという記事。覃献平氏は、趙剣英氏(故人)の息子。趙剣英は太乙五行拳の伝承者で、文化部が定めた国レベルの無形文化財の最初のリストの中で、武當…

大連中国武術文化博物館

大連で、武術文化博物館建設の定礎式が行われたという全球功夫網の記事。記事によると、投資予算は6,000万元で国内最大規模ということだけれど、以前に報道されたいた河南省で建設中の少林武術博物院は投資額2.3億元、天津の霍元甲武術館が3億元ということだ…

武術運動管理中心の2013年活動方針

武術運動管理中心のホームページに、2013年の活動方針と、それに関する高小軍主任の解説らしきものが発表されている。 2012年の活動方針と比べると、武術文化公共服務体系の構築、という、なんだか新しい単語が唐突に出てきた気がするけれど、具体的な措置と…