中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

現代中国武術事情

「中国搏击选手生存状况调查」

重慶時報の記事をポータルサイト捜狐が転載した記事。ここで紹介されているKFK搏撃大賽(Kung Fu King)というのは、国際武術搏撃争覇賽のことで、中国武術協会が主催、重慶市南岸区人民政府、重慶ラジオ・テレビグループなどが実施を請け負って実施されて…

2012年の官方武術界総括

2012年を振り返る、ふたつの記事。一つは高小軍のもの。武術行政サイドとしては、段位制の導入を柱とする「標準化」と武術界の一致団結の二つを引き続き重視していることがわかる。閻芳問題があれほどクローズアップされた理由もそこから理解できる気がする…

劉文兵『中国映画の熱狂的黄金期――改革開放時代における大衆文化のうねり』

新書『中国10億人の日本映画熱愛史』などでおなじみの劉文兵氏の新著。新中国におけるカンフー映画の先駆は、劉暁慶主演、1980年公開の『ミステリー仏陀』(原題『神秘的大仏』未見)というのは知らなかった。大陸におけるカンフー映画は、香港と大陸の合…

毛沢東語録拳

文化大革命当時、「毛沢東語録拳」なる型が創られたことについては、習雲太『中国武術史』にも書いてあった気がするけれど、いまだに動画を見たことはない。しかし・・・時代は変わっても、新しい型がどんどん作られては消えてゆく気がする。 “毛主席语录拳”…

国家武術研究院専家会議後の高小軍のコメント

国家武術研究院(武術研究院の頭にいつから「国家」とつくようになったんだ?)の専門家委員会後の高小軍のインタビューがいくつかのサイトに出ている。2012年の武術界の重要な動きは?という記者の質問に対しては、散打のナショナルチーム設立を挙げている…

霍元甲精武館2

以前のフォローアップのような記事が続いているけれど、霍元甲武術館(以下の記事では精武館)が完成したらしい。 以前に引用した計画では、8月に竣工し、10月に実施される第12回世界精武大会の会場になる予定、とあり、数百人で突貫工事をしたらしいけれど…

武林奇侠か江湖騙子か2

李経梧の生誕100周年の行事が北戴河で開催された。同時に開催されたシンポジウムで門人たちは「太極拳を妖魔化した」閻芳を除名すると発表(全球功夫網の関連記事1、2。 弟子たちはそれによって「国粋の尊厳を守り、一門の濁流を洗い流す」としている。…

武林奇侠か江湖騙子か

李経梧太極拳の伝承者だという閻芳女史の推手の動画が話題になっているようだ。(標題は、武術世界に転載されている記事のタイトルを前後入れ替えたもの。)全球功夫網、武術網、武術世界などのポータルサイトにはこれを「詐欺だ」と批判する文章が掲載(転…

フォローアップ

過去のメモのいくつかのフォローアップ1.武術の里 「動態管理」(終身制の取り消し)について、武術運動管理中心社会部主任馮宏芳の取材記事。 2.武術のオリンピック競技種目化 以前、高小軍は、華商報のインタビューで2013年が、競技種目化の「命運年」で…

武術パフォーマンス専攻

上海体育学院では、教育部の審査を経て、「武術表演」専攻を設け、全国的な募集を始めた。映画や北京オリンピックの開幕式のような大型イベントの武術パフォーマンスやゲームにおける武術の動作の設計ができる専門人材を育成するらしい。なぜ、従来の武術専…

2012蘭州国際武術交流大会

2010年4月に設立された蘭州通備武学研究会、確か公式ブログも立ち上がった割りには一向に更新されず、どんな活動をやっているのかわからなかったのだけれど、この7月に蘭州市の体育局、旅游局などが「2012蘭州国際武術交流大会」を開催するにあたり、「支持…

霍元甲武術館

天津で3億元かけて霍元甲武術館を建設するらしい。湖北省で女子テニスの世界的プレーヤーになった李娜にちなんだ総合スポーツ施設を作ろうとしていることと比較して、地元では鼻息が荒い。 武术宗师比肩李娜? 天津3亿造霍元甲武术馆腾讯体育讯 尽管李娜今…

西部少林寺

福建省の投資グループが重慶市江津区で3億元をかけて「西部少林寺」を建設するプロジェクトがスタートしたという。嵩山少林寺は、天津に分院を建設したり、雲南省の4つの寺院を委託管理しているけれど、今回は嵩山少林寺のプロジェクトではなく、泉州南少林…

四川省における武術

「武術の里」の関連し、3つの地方における武術普及の取り組みを紹介する記事。 そのうちの二つ目、四川省の取り組み方が面白い。 2010年に就任した峨眉堂・任剛主任のもと、中央の段位制普及の動きに積極的協力や、「8月8日全民健身日活動」を通して省内の…

少林寺の声明

少林寺は4月25日付で声明を出し、最近、少林寺や少林武僧の名を語って表演や占い、薬の販売などを行うものがいて、少林寺の名誉を傷つけているが、少林寺の外部で「少林寺」や「少林武僧団」、「少林和尚」、「少林武僧」を語っている武術学校その他は、いず…

天津中華武士会設立100周年

今年は天津中華武士会が設立されて100周年にあたる。設立は9月8日だけれど、地元武術界ではすでにお祝いムードのようで、5月1日に中山公園でちょっとした演武会が開かれたようだ。 天津中华武士会百年诞辰 300多位武林高手汇演中山公园 武术网消息:今年是“…

武術学校の現在

中国青年報に、3月末から4月にかけて、民間の武術学校の現状を扱った記事が二本、相次いで掲載された。一芸入試との関係、生徒の多くは「農民工」の子弟であること、複雑な行政許可の隙間をぬうように営業されている無許可の武術研修クラス、指導者の経歴…

投資プロジェクト2件

河南省で、少林塔溝教育集団が少林武術博物院が着工。予算規模は2.3億元。 四川省では、武侠文化創意産業園の企画が持ち上がっており、こちらの予算規模は3億元に上るらしい。どちらも、話を膨らませている要素があると思うので、結果がどのようなものに…

武術進校園

見落としていたけれど、昨年の9月に教育部と体育運動総局が作った小中学生向けに武術の要素を盛り込んだ体操「武術操」を発表していたらしい。武術操には、「旭日東昇」、「雛鹰展翅」、「英雄少年」、「功夫青春」の四種類があるらしい。 高等教育出版社か…

武術運動管理中心の2012年度方針

12月20日付で武術運動管理中心の2012年度方針が発表されたので、とりあえずメモ。大武術観に基づき、段位制度、標準化を推し進めてゆくらしい。昨年やるはずだった全国武術運動会は、結局開催されていなかったようで、今年度中に第一回全国武術運動会を開催…

武術の里2

20011年7月2日のメモの続報。 「終身制」の廃止を盛り込んだ管理方法が発表されたらしい。 发挥“武术之乡”的阵地作用 ——全国武术之乡复查收官 春节前,国家体育总局武术运动管理中心、中国武术协会在全国范围里展开了为期一个月的首次“全国武术之乡”复查工作…

武術学校の体罰問題

河南省のある武術学校(名門である塔溝武術学校と推測されている)で体罰が行われている画像がネット上で公開され、一部で話題になっているらしい。この問題に関連して、武術学校という、独特の学校制度についてとりあげた記事が「光明網」に掲載された。 こ…

「様板武術」

数日前、韓国の伝統武術「テッキョン」がユネスコの無形文化遺産として登録されたことに関する報道のなかで、少林武術は先を越された、と指摘するようなものがあった。 無形文化遺産条約では「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」と「緊急に保護する必要が…

不慮の事故・・・で終わらせないために

10月末から11月はじめにかけて、海口で開催された「2011年中国武術散打功夫王争覇賽」の80キロ級に出場していた上官鵬飛選手が、準決勝でKO負けして意識を失い、そのまま病院に運ばれ、43日後の12月12日、治療の甲斐なく、彼が帰らぬ人となったことが発表…

峨嵋派武術

詳しい経緯はわからないけれど、高野山金剛峰寺、高野山霊宝館、高野山大学の一行29人が峨嵋山で峨嵋武術研究会会長の汪鍵氏らと交流と演武を行ったらしい。百度の汪鍵氏のプロフィールで紹介されているエピソードが面白い。 それによると2009年に、ムエタイ…

段位制についての高小軍の講話

やや古いニュースになるけれど、8月末に、武術段位制度の指導員と審査員の研修が北京で開かれていたらしい。中国武術協会の高小軍主席は過去10年試行された段位制を振り返って、いくつかの問題が浮かび上がってきており、それらの問題はまだ解決できてい…

風紀引き締め

来月、トルコで開催される武術の世界大会に備えて合宿中の、散打のナショナルチームが風紀引き締めのための委員会を開催したという記事。良くわからないけれど、スピードスケートのショートトラックのナショナルチームで合宿中に殴打事件があったりして、キ…

2020年(2)

IOCの総会で2020年のオリンピックの競技種目候補の中に武術がかろうじて残ったのは以前のメモに書いたけれど、それからほぼ2ヶ月。 武術のオリンピック競技種目化について、中国青年報と新華日報に、相次いでコラムが掲載された。いずれも論調としては、競技…

中国におけるムエタイ

7月28日から30日にかけて広東省仏山市で、国家体育総局武術運動管理中心が主催、武漢体育学院と世界一家功夫体育産業有限公司という会社の実施請負で「第4届全国泰拳比賽」が開かれていたらしい。広州で開催なのに武漢体育学院が実施を請け負っているのはよ…

雑誌『精武』停刊

雑誌『精武』は今年にはいって停刊していたらしい。まだ武術をはじめて間もなかったころは大陸でも『少林寺』ブームのあとで、この記事でもとりあげられている、『武林』「武術健身』などの雑誌があったけれど、これらはすでに停刊しているらしく、今も続い…