民俗芸能としての中国武術
この対談にとても触発された。
近年、中国武術の世界では、国家や地方行政レベル、さらにはユネスコに無形文化遺産(非物質文化遺産)として承認されることを良しとする傾向があり、地方の武術の状況がわかりやすいので、このブログでもときどきチェックしている。
「無形文化遺産」に認定された流派・グループにとっては、広く社会的価値を認められたという点で、大いに励みにもなり、人も集まりやすくなるという点で意味があることかもしれないけれど、文化財として認められることによって、「変えちゃいけないもの」、「保存すべきもの」ということに重点がおかれてしまい、武術としての本来の意味や可能性を追求することがおろそかにされる可能性もあるという点は、この対談で語られている伝統芸能の世界とまったく同じな気がする。
アートでもエンターテイメントでもない、「暮らしのなかで生まれ、暮らしと密着した「芸能」」という捉え方もヒントになった。
各地で武術のイベントも数多く開催されていると思うけれど、それが本当に各地における武術の振興につながっているのか、記事でいうところの「お金をかけてイベントしました、ってだけの話」になっていないか、よく検証してみる必要があると思う。
最近、中国の大学の武術専攻では、卒業後に必要だからという理由で獅子舞が取り入れられているという話も聞く。最初にきいたときは、武術の専門人材の育成の有り方として、いかがなものかと思ったけれど、それはそれで注目すべき取り組みかもしれない。
◎記事の中でも貼り付けられている三陸国際芸術祭の紹介動画
◎河北省の農村の旧正月における武術表演
◎関係する過去のメモの中から