2019年9月に国務院が発表した「体育強国建国要綱」では、武術に関して、やはりオリンピック競技種目化が目標とされていたけれど、先月、ローザンヌで開催されたIOCの会議で、2022年にダカールで開催されるユース・オリンピックではwushuが競技種目になることが決まったらしい。
新華社はそのことを、歴史を開くものとして、やや興奮気味に伝えている。
はたしてどんな形で競技や採点がなされるのか。興味のもたれるところ。
ちなみに、武術競技も参考にしていると思われる体操競技では、AIによる採点システムが検討されている。
以下の記事は去年の記事だけれど、「2020年までに5種目、2024年までには全10種目の自動採点とマルチアングルビューを提供するのが現在の開発目標」と述べられている。
ところで、「体育強国建国要綱」に話を戻すと、そもそものきっかけは、日本以上のスピードで進むことが予想されている高齢化社会の到来に備えて、人民の体質強化を図ることを呼びかける意味があるものと思われる。その意味で、四川省体育局が発表した「自宅武術健康体操(宅家武術健身操)」は興味深い。
宅家武術健身操は中高年、青少年、幼児向けの三種類が作られている(上の記事のなかに動画のリンクがある)。青少年向けのものは、段位制などの入門用の型とも似ていて、特に新しさを感じないものの、中高年向けのものは通背拳などの伝統武術の要素が取り入れられていたり、幼児向けのものは武術以外のお遊戯?の動作が大胆に取り入れられて、考えようによっては、青少年向けのものよりも難しいような気もする。さすが、これまでも拳師の人気投票などを大胆に行ってきた四川省ならではの、機を見るに敏な取り組みだなあと思う一方、幼児向け武術体操の普及などの、従来の似たような取り組みとの整合性についてはよくわからない。
たぶん、それはそれ、これはこれ、という割り切り方なのだと思う。その中から、本当に価値のあるものだけが残ってゆくのだろう。