去る11月21日、武当山で、第一届全国武當拳交流大賽が開幕した。
これは中華人民共和国成立以来、はじめての武當拳専門の全国規模の賽事であり、武当拳にとって記念すべき日だと、地元新聞は報じている。
この競技は、国家体育運動総局武術運動管理中心、中国武術協会、湖北省体育局の主催で、湖北省体育局武術運動管理中心、湖北省武術協会、十堰市文化・旅游局、武當山旅游経済特区管理委員会が実施請負。
つづけて、11月28日には、武當武術を地元の学校に普及するために中小学校の教師むけに行われていた4日間の研修会が終了している。どういう範囲かわからないけれど、30校の教師が参加したらしい。
こういった報道だけ見ると、武當拳の普及に向けた努力がすすんでいるように見えるけれど、一方で、ネット上にいわゆる「ニ拳一械」の映像がまったくでていないのが気になる。(自分の探し方が悪いだけかもしれない。)
第一届全国武當拳交流大賽の記事にもあるように、「ニ拳一械」の標準化套路が2016年の12月には国家体育総局武術運動管理中心と国家武術研究院の審査を経ているのだとすれば、意図的に公開していないんだろうか。そうだとすれば、なぜ?普及が目的なら、もっと積極的に公開すればよいのに。
ちなみに、一口に「標準化」といっても、何のための標準化なのかによって、その套路の使われ方は違ってくるのだろう。社会体育としての普及が目的なら、あまり細部にこだわる必要はないと思うけれど、これによって競技を行うことが前提なら、だれもが採点に納得ができるように、動作の過程まで含めて、「標準的なやり方」を定義しておく必要があるのだろう。
その点に関していうと、二十四式太極拳は、本来は社会体育として、人民の運動不足解消を目的としていたと思われるけれど、次第に競技や審査のために使われるようになり、上述のような「標準的なやり方」が後付けで定義されてきたように思われる。しかも、太極拳を愛してやまない日本人が、日本人的な勤勉さで、必要以上に細かく手順をマニュアル化してしまったので、本来の太極拳の自由さが失われている面があるらしい。このあたり、「にせ大師」のような問題が後を絶たない中国武術の世界では、ジャンル自体の信頼性を維持するためにも、ある程度の「標準化」は必要だと思うけれど、何事も程度問題なのだろう。あとは学ぶ側の問題でもある。
今後、まだ見ぬ標準化套路がどのように活用されてゆくのか、注意して見守りたい。
〇過去メモ
前にもメモしたけれど、参照していたリンクがすべて無効になっている。
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