『蔡李佛拳少児教材』など 武術進校園4
仏山日報の記事によると、同市で、6歳以下の児童への普及を目的とした32動作からなる蔡李佛拳の少児教材が編集されたとのこと。
同記事によると、仏山市蟷螂拳総会の陳燦明会長も、青少年への普及を目的に、本来の套路を簡略化したり再編集したいと述べており、市体育局の幹部は各流派がこのような各流派の時代に適応し、青少年の興味をひくための試みを支持している。
記事のタイトルには「伝統武術進校園」とあって、「伝統」という文字が入っているけれど、数年前から気になってたまにメモしていた「武術進校園」という取り組みは、学齢期の児童への普及を目的に編集した入門用の套路を学校に広めてゆくものであって、どちらかと言うと「標準化」の流れに沿ったものだと理解したいてのだけれど、ここへ来て、この佛山市の例にみられるように、「標準化」よりも各地の固有の拳種の底辺拡大と結びついた活動に変わってきているのだろうか。個人的には、こっちの取り組みの方をより支持したい。
あらためてキーワード検索で各地の取り組みをざっと確認してみた。とりあえず、目についた主なものをメモ。
実験校に指定された学校と、地方の武術協会、武術学校が連携している様子がうかがえる。ただし、大々的な掛け声とは裏腹に、多くの学校では課外授業として休み時間に採り入れられている程度というのがやや残念でもある。
〇福建省漳州市長泰県の例
長秦興秦中心小学、農場中心小学を実験校とするとりくみがスタートしたという。
地元にある「天成武校」が講師を派遣して、「武術操、健身操、武術文化」などを教えるという。教える中身は、全国統一のものか、地方固有のものかはよくわからない。
県公安局の教官で、市の非物質文化遺産である永春白鶴拳の「代表性伝承人」でもある鄭暁嶸教官がボランティアで地元の学校で指導を行っているらしい。記事の中身、写真からも、ここでは白鶴拳が普及の内容になっている。
〇四川省綿陽市三台県の例
2017年12月に都市部を実験校とする取り組みがスタートしている模様。三台武術協会、三台文武学校の指導のもと、各実験校の実施責任者との連携で進められているらしい。こちらも「伝統武術進校園」をスローガンしているけれど、具体的な中身はよくわからない。
绵阳市三台县举行“传统武术进校园”启动仪式 - 四川省体育局
〇四川省広安市の例
護安初中では、2016年から二十四式太極拳が導入されている模様。
〇山東省済南市の例
2017年10月末に、義和小学が「伝統武術進校園」の実験校に指定されている。同校ではすでに3年前から「武術世家」の賈友民老師を招いて、休み時間の活動として武術を教えているという。教授内容に関して、記事には「洪拳拳法」の語が見え、地元の武術に即した内容であると思われる。(そうでなければ、わざわざ賈老師を招聘する理由もないだろう。)
〇河北省石家荘市の例
休み時間の体操として武術が取り入れられているようだけれど、詳しい内容は不明。
〇河北省廊坊市の例
地元の老提頭武術協会の会員がボランティアで武術を指導している模様。同協会はもともと、ボランティアで武術の指導を行っている団体らしい。
〇河南省周口市龍曲鎮の例
中身や、取り組み方の詳細不明。
めずらしく動画。休み時間30分を利用して、八式太極拳を指導している模様。
次の段階としては套路も・・・という想定らしい。