中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

2012-01-01から1年間の記事一覧

霍元甲武術館

天津で3億元かけて霍元甲武術館を建設するらしい。湖北省で女子テニスの世界的プレーヤーになった李娜にちなんだ総合スポーツ施設を作ろうとしていることと比較して、地元では鼻息が荒い。 武术宗师比肩李娜? 天津3亿造霍元甲武术馆腾讯体育讯 尽管李娜今…

西部少林寺

福建省の投資グループが重慶市江津区で3億元をかけて「西部少林寺」を建設するプロジェクトがスタートしたという。嵩山少林寺は、天津に分院を建設したり、雲南省の4つの寺院を委託管理しているけれど、今回は嵩山少林寺のプロジェクトではなく、泉州南少林…

四川省における武術

「武術の里」の関連し、3つの地方における武術普及の取り組みを紹介する記事。 そのうちの二つ目、四川省の取り組み方が面白い。 2010年に就任した峨眉堂・任剛主任のもと、中央の段位制普及の動きに積極的協力や、「8月8日全民健身日活動」を通して省内の…

ぬきうちテスト

この記事によると、あまりにもサービスが悪いので5A級景区の認定を取り消される危機にあった「少林景区」は、国家旅遊局による抜き打ちテストに合格して、当面のあいだ降格の恐れを逃れることができたらしい。 そういえば、僧侶による通訳ガイドとか、まだ続…

青島国術館の再建?

青島の武術家たちが、「青島国術館」の再建を検討しているというお話。青島の武術は、1919年、王子平が青島に来て現地の武術家たちと国技学社、のちに中華武術会(このふたつの組織の関係はよくわからない)を創ったのが、社会活動としては先駆的なものだっ…

少林寺の声明

少林寺は4月25日付で声明を出し、最近、少林寺や少林武僧の名を語って表演や占い、薬の販売などを行うものがいて、少林寺の名誉を傷つけているが、少林寺の外部で「少林寺」や「少林武僧団」、「少林和尚」、「少林武僧」を語っている武術学校その他は、いず…

伯国棟老師の語る戳脚翻子

かなり充実したインタビューを見つけたのでメモ。 武术网资料:日前,笔者在沈阳八一公园见到了今年70岁的白国栋先生,于是有了下面一番对话。问:白老师,您是戳脚翻子拳于伯谦大师的第一个弟子,所以,有人称您是当今沈阳戳脚翻子的“掌门人”,对吧? 答:…

天津中華武士会設立100周年

今年は天津中華武士会が設立されて100周年にあたる。設立は9月8日だけれど、地元武術界ではすでにお祝いムードのようで、5月1日に中山公園でちょっとした演武会が開かれたようだ。 天津中华武士会百年诞辰 300多位武林高手汇演中山公园 武术网消息:今年是“…

阿徳「緊那羅考」など(釈永信編『少林学論文選』所収)

以前に、少林寺の守護神といわれている「緊那羅」について、釈永信方丈が、「本来は「那羅延執金剛」神 であった」という考えを示していると書いた。この問題について、ずっと考え続けてきたわけではないのだけれど、最近、中国のダウンロードサイトから入手…

武術学校の現在

中国青年報に、3月末から4月にかけて、民間の武術学校の現状を扱った記事が二本、相次いで掲載された。一芸入試との関係、生徒の多くは「農民工」の子弟であること、複雑な行政許可の隙間をぬうように営業されている無許可の武術研修クラス、指導者の経歴…

投資プロジェクト2件

河南省で、少林塔溝教育集団が少林武術博物院が着工。予算規模は2.3億元。 四川省では、武侠文化創意産業園の企画が持ち上がっており、こちらの予算規模は3億元に上るらしい。どちらも、話を膨らませている要素があると思うので、結果がどのようなものに…

武術進校園

見落としていたけれど、昨年の9月に教育部と体育運動総局が作った小中学生向けに武術の要素を盛り込んだ体操「武術操」を発表していたらしい。武術操には、「旭日東昇」、「雛鹰展翅」、「英雄少年」、「功夫青春」の四種類があるらしい。 高等教育出版社か…

武の聖地・・・

北京で「両会」の開催時期が近づき、それにあわせて、いろいろ水面下の運動が行われるようだ。少林寺は、釈永信方丈が北京入りする前後から僧侶によるボランティア観光ガイドを開始。 あまりにも商業主義でサービスの質が悪いために「少林寺景区」の「5A級…

長江大侠 呂紫剣

2012年2月12日に亡くなった。享年119歳という。呂氏の武術は、徐本善、李国操、江英、李長叶といった人々の流れを組むらしい。以下の記事では霍元甲の「兄」になっているけれど、年齢的には呂氏の方が圧倒的に下のはず。徐本善李国操 霍元甲之“兄”…

張山編『武林春秋』

この本は中華人民共和国以降の武術のあゆみを知る上で役に立ちそうだ。とりあえずメモ。 张山主编的《武林春秋》出版《 中国青年报 》( 2012年02月26日 04 版) 本报讯(谢梅)作为人民体育出版社重点书目的长篇著作《武林春秋》日前正式出版。这是新中国成…

温家武術

明代の武術著作に名前の出てくる温家武術、中国のブロガー「剛呂綿章」氏は、その伝承は途絶えていないとし、またその技は現代の形意拳や戳脚、翻子拳に繋がる部分があると書いている(「明代温家拳术浅说」)。 これとの関係で、北京の戳脚翻子門の人たちが…

武術運動管理中心の2012年度方針

12月20日付で武術運動管理中心の2012年度方針が発表されたので、とりあえずメモ。大武術観に基づき、段位制度、標準化を推し進めてゆくらしい。昨年やるはずだった全国武術運動会は、結局開催されていなかったようで、今年度中に第一回全国武術運動会を開催…

武術の里2

20011年7月2日のメモの続報。 「終身制」の廃止を盛り込んだ管理方法が発表されたらしい。 发挥“武术之乡”的阵地作用 ——全国武术之乡复查收官 春节前,国家体育总局武术运动管理中心、中国武术协会在全国范围里展开了为期一个月的首次“全国武术之乡”复查工作…

松本清張『密教の水源をみる 空海・中国・インド』

以前に読んだ仏教の中国伝播についての本で、多くの僧侶がインドを訪れたり、インドや西域から高僧を招いて経典の翻訳を行われたけれど、いったん経典の翻訳が終わると、翻訳された経典が権威となって、原典との対照研究などはあまり行われず、その結果、原…

田中健夫『倭寇 海の歴史』

講談社学術文庫の新刊として出版されたので読んでみた。 中国武術史でおなじみの兪大猷、戚継光といった「抗倭名将」の名前は最後の部分に少しだけ出てくる。彼らが相手にしたのは16世紀の倭寇であり、14〜15世紀の倭寇とは同じ名前で呼ばれていても、「発生…

緊那羅

現代武術を「様板武術」と批判している少林寺の釈永信方丈、少林寺における武術は、あくまで仏教の修行の一部であって、本来は「少林功夫」と呼ばなければならないと主張している。いいかえると、修行という側面が伴わない、単に人を撃つための技術練習は「…

武術学校の体罰問題

河南省のある武術学校(名門である塔溝武術学校と推測されている)で体罰が行われている画像がネット上で公開され、一部で話題になっているらしい。この問題に関連して、武術学校という、独特の学校制度についてとりあげた記事が「光明網」に掲載された。 こ…

陳崢『太極拳の源流を求めて −十三勢套路の発見−』

李自力老師の本とともに地元図書館で発見。河南省博愛県の李氏家譜など、最新の研究動向も視野にいれつつ、太極拳の起源に迫ろうとした、かなり野心的な研究で、史料の読み方など、なるほどと思う部分もあるのだけれど、ところどころ、結論だけが示されるの…