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中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

岳家拳、満江紅など

 

少し前に全球功夫網に掲載された、岳家拳についての紹介記事によると、岳飛に由来する「岳家拳」で「全国的に比較的突出」しているのは(1)河南省新郷の路全振、張開明を代表とする新郷岳家拳、(2)湖北省黄梅の雷傑を代表とする黄梅岳家拳(注)、(3)湖北省武穴の張業金を代表とする武穴岳家拳の三家があるらしい。

 

(注)記事では、黄枚岳家拳、となっているけれど、「枚」は「梅」の間違いと解釈した

 

www.qqgfw.com

 

 

新郷のものは、この派の祖(范祖)が、12歳のときに岳飛の故郷である相州湯陰(河南)で直接に岳飛に学んで以来伝えてきたもので、太行山区で600年を経た後、清の乾隆年間に25代目の范広が、祖先が岳飛に従って戦った新郷に移住して現在に至るという。路全振は第33代。

黄梅の雷傑の祖先は岳飛の愛将、武穴の岳家拳は、武穴に居を定めた岳飛の第五子・岳霆以来の伝統で、今に到るまで26代にわたるという。

 

中国武術拳械録』の「岳家拳」の項では、(2)と(3)をあわせて湖北岳家拳としていて、特に区別していないようにみえるけれど、河南と湖北のもののほかに、

 

(4)山東の房英龍が安徽省に伝わったもの

 この一派は「岳王拳」と称し、ここから広西にもつたわっている

(5)四川のさまざまな伝承

 5-1 清の中期に河北直隷の人・張天虎(綽名は麻溜張)が伝え、双流鎮(成都)を中心に伝えられているもの

 5-2 清末に湖北の呉道人が宜賓の地に伝えたもの

 5-3 清の道光年間に太平軍の敗将が三台城龍王廟で出家して伝えたもの

 5-4 清末に山西から来て保鏢、軍隊の教官を務めた武志成が伝えたもの

 5-5 綿陽の雷剣塵が祖父から伝えられたもの

(6)湖南の岳門拳

(7)河北の劉士俊が伝えた岳氏散手とその弟子の劉徳寛がまとめた岳氏連拳

(8)広東の岳家「教」

を簡単に紹介している。(番号は、整理のためにふってみた。)

 

その他にも、形意拳の中にも岳飛を始祖とする主張があったはずだけれど、これらの「岳家拳」のもとを辿ると、一つの原型が見えてくるのか、そうでないのかは不明。

いちおう、中国武術拳械録』にのっている套路をメモ。套路の名称で見るだ限り、あまり共通性はないような気もする。

 

1.拳術

(1)湖北岳家拳

 一字拳、二連拳、三門、四門架、五法、六合、七星、八法、九連環、十字樁、岳氏連拳

(2)河南岳家拳

 連八錘、岳武穆王八段錦、十八羅漢樁功、岳王小字捶、岳公大字拳、岳武穆王太平捶、三十六囲手

(3)湖南岳門

 鳳凰展翅

(4)四川岳門

 頭部、小連城、大連城、炮錘、覇王冠、進樁拳、連城拳、紅扣拳、六肘、十二地支、紅扣六肘、岳氏散手・圓手、猛虎出林、金猫戯鼠、六合拳、三星樁、岳門一路、六樁拳、梅花掏撩手、太平樁、青蓮拳

(5)広西岳家拳

 北拳、全手

(6)広東岳家教

 一盆珠

(7)山西岳氏連拳

 上八路、中八路、下八路

(8)安徽岳王拳

 功力拳、頭趟抗金龍、二趟二馬投唐、三趟白虎蹄、四趟錘功力、五趟五馬破槽

 

2.器械

(1)湖北岳家拳

 岳家槍、鈎鐮槍、岳家双鐗、岳家双錘

(2)四川岳門

 斉林棍、岳家ヒ首、夜行剣、雁翎刀、投唐棍

(3)河南岳家拳

 岳武穆王三十六奇槍、岳家乾坤剣、十八歩戦槍

(4)広東岳家教

 鈎鐮棍

 

3.対練

(1)河南岳家拳

 七十二合手法、破法、滑溜

(2)広東岳家教

 双頭棍対板凳

 

ただ、『中国武術拳械録』の記載は必ずしもすべてではないのだろう。

たとえば、『武術河南』の路全振のページによると河南新郷の岳家拳の伝承は、

 拳法:左右連珠、八角連三、法連

 器械:八母棒、五行鐗、十宗剣、柔功単刀、手巾花(?)

 その他:擒拿、点穴秘術

となっている。

 〇路全振 - 武术河南

 〇新郷岳家拳のウェブサイト

  岳家拳-首页

 

また、『峨眉武術在線』の「岳家拳源流与技撃」という記事作者の楊永は80年代の湖北省武術発掘整理組の組長だった人だと思われ、湖北の岳家拳について記したものだと考えられるけれど、そこに記載されている内容は以下のとおり。

 

 拳法:一元功、二練拳、三門、四門架、五法、六合、七星錘、八法、九連環、十大練、梅法、衝法、十二宮、十八錘、四十八連策手、桐法錘(注)

 器械:岳家槍、鈎鐮槍、連環剣、子午棍、双錘、双鐗、双鞭、大刀等

 岳家拳勇猛刚烈有绝招——访岳家拳传承人张业金 ——中国武术在线 人物访谈

 

www.emwsw.com

 

湖北省体委武術発掘整理組 黄崗地区体委武術発掘整理組編『岳家拳』(1987年9月)

 

 

CCTV『走遍中国』の湖北・黄梅の岳家拳についてのドキュメンタリー(「精忠岳家」)

www.youtube.com

 

雷傑の三門

www.youtube.com

張業金の三門

www.youtube.com

張業金の六合

www.youtube.com

 

張業金の岳家棍 教習用映像

www.youtube.com

 

山西の「岳氏」八翻手

www.youtube.com

 

台湾に伝わったのは湖南省のもの?

www.youtube.com

 

**********

岳飛といえばやはり「満江紅」、ということで改めて調べてみたら、いままで見たことのなかったいくつかの動画がヒットした。細部が違うようだけれど、出だしのところは共通性がある気もする。でも、やはり中央国術館3期生の蘇順義が「満江紅」を歌いながら演じる、最初に見つけた動画がぴかイチかなあ。

 

v.youku.com

v.youku.com

 

v.youku.com

 

zigzagmax.hatenablog.com

 

zigzagmax.hatenablog.com

 

〇『中央国術館史』より

f:id:zigzagmax:20170521215814j:plain

f:id:zigzagmax:20170521215844j:plain

 

 

 

「約架」事件

GW前後、中国武術関係のニュースでは、「雷公太極」の魏雷とMMAの徐暁冬の勝負についての話題で持ち切りだったけれど、中国武術協会が果し合い(約架)などの「違法行為」に反対するという強い声明を出し、かつ徐暁冬のウェイボーのアカウントの閉鎖など、個人的な言論を封じる強い措置をとったこともあり、それについての強い不満もでているものの、事件そのものは急激に沈静化に向かっている。

 

中国武術協会の2017年5月3日付声明

出典:

http://www.wushu.com.cn/xwzx_info.asp?id=1351&select1=%D0%AD%BB%E1%D0%C2%CE%C5

 

4月27日の勝負から5月3日の中国武術協会による声明とその前後、短い時間だったけれど、太極拳の名誉が傷付けられたということで、河南省から(王西安の息子の)王占海が勝負に名乗りを挙げたという話とか、套路が役にたたないということはそもそもジェット・リーが語っているじゃないかということで、彼の古いインタビューが引っ張り出されたりとか、太極拳だけじゃなくてすべての伝統武術の尊厳が傷付けられたということで武當派の玄炳(賀曦瑞 武當道教玄真功夫院院長)が立ちあがったとメディアが報じると本人がそんな事実はないとあわてて否定するとか、魏雷は例の閻芳の推手は真実であると信じるようなタイプの人間で、職業もマッサージ屋だと暴露されるとか、一方の徐暁冬も、什刹海体育運動学校の散打専攻で教練とされていたプロフィールを什刹海体育運動学校側が正規の学生じゃないし、ましてや教練ではないと否定するとか、いろんな動きがあった。(その後もいろいろあるけれど、きりがないのでいちいちフォローしていない。)

 

徐暁冬が什刹海体育運動学校の正式な学生だったのかどうかはともかく、ジェット・リーの母校でもある什刹海体育運動学校が早くから散打の研究をしていたことは事実で、同じ学校で日々格闘の練習をしている人たちを横目に見ていたジェット・リーが、「競技武術」の套路を「花架子」と捉えていたとしても、それ自体は何ら不思議はなく、極めてまっとうなコメントだという気がする。(競技武術はもともと格闘を目的にしたものではないし、身体能力が高くて何をやってもモノになるような人はさておき、競技武術をやって強くなれると考えている人がいたら、そのほうがよっぽどどうかしている。)かつて、北京武術隊で訓練したことがあるドニー・イェンも自伝(ゴーストライターかも?)のなかで、当時の北京チームの超人的な跳躍力とスピードを評価しつつ、彼らがやっているのは「一種の体操訓練」であって、実用という点ではほとんど役に立たない、と記している。

 

www.youtube.com

 

ジェット・リーの武術観は、全球功夫網の記事「武術についての私の考え(我対武術的理解)」も参考になる

www.qqgfw.com

 

ドニー・イェンの自伝

zigzagmax.hatenablog.com

 

徐暁冬の発言も、一部しか見ていないけれど、以下の記事を見る限り、実戦的な訓練をしていないのに強さを標榜している人たちを「嘘つきだ」といって兆発しているだけで、別に武術全般を否定しているわけではないように見える。結果的には、このあたりが「落としどころ」になった感がある。

 

徐曉冬直言「我現在挑戰的是欺騙。我正在挑戰的是一百年來某些中國傳統武術中的欺騙,一百年來沒有人挑戰,我需要來挑戰,就是這樣。我打的傳統武術中的假。」

http://www.chinatimes.com/realtimenews/20170505001753-260409

 

以下のまとめ記事(日本語なのでとても参考になる。バックナンバーの閲覧は有料になるみたいだから、そのまえに保存)では、魏雷のペテンとして、CCTVの『体験真功夫』で披露された西瓜の果肉を「気」で破壊する技と、鳩を掌から飛べなくする技のトリックが暴露されている。「約架」を違法とし、徐暁冬の個別の発言の機会が制限されるなかで、こういった「ペテン」がなんらお咎めを受けていないことが、徐暁冬とその支持者の中国武術協会への不満につながっているというのは、とてもよくわかる。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

もっとも、以下の記事に貼り付けられた徐暁冬のウェイボーの書き込みをみると、尖閣諸島は日本のものだと書いていたり、共産党や解放軍に対する不満が記されている。これを見る限り、アカウントの閉鎖は、もはや武術に対する不満という一線を越えて別の理由であるようにも思える。

 

写真は以下の記事より。

blog.dwnews.com

 

ちなみに、北京散打チームの生み親とされ、什刹海体育運動学校で散打の研究に取り組んでいた梅恵志の伝記には、当時(70年代)から、時々民間の武術家が勝負を挑んでくることがあってそのたびに返り討ちにしていたことや、国内の様々な競技で地元の武術家が参加してくることが描かれていた。彼らは、散打選手のように重たい突きや蹴りを受けた経験がないので、まずは一発、重たい突き・蹴りを食らわせて戦意を喪失させるというのが彼らに対抗する常套手段だったらしい。

 

zigzagmax.hatenablog.com

 

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この騒動に関連して、伝統武術の多くが実戦に使えないことは、1929年に杭州で開かれた杭州国術遊芸大会ですでに証明されているじゃないか、との指摘も少なくない。

この試合では、事前の下馬評を覆して、当時はまだ無名だった中央国術館の若者(今でいうナショナルチームの選手)がベテラン武術家を打ち負かすことになった。

その実例から、目的に応じた科学的な訓練を重ねることが何よりも重要であって、「名人は民間にいるというのは根拠がない」という趣旨の記事が、以前に浙江省武術協会のサイトに出ていた(1929年浙江国术游艺大会纪实」)。以下は、その記事のまとめにあたる部分(注)。

 比赛中的几个现象
1.名满天下的高手名不副实的比比皆是,名气大的不一定能打,或者不敢上擂台,或者经擂台一检验,优劣立显,用赵道新的话来说,就是‘要么被打破了头,要么被吓破了胆”。
2.大部分传统武术不能实战,乃是‘虚设的套子”,不能临场实用,被当时形象地称为“空头拳术”,而优胜者自报家门时虽都是五花八门的传统门派,但无一例外的暗地另搞一套独有的格斗训练,训练内容不得而知,但从个别人身上可推测一二,如亚军获得者朱国禄兼练拳击,其打法当时遭一太极名家非议,说“不合国术”,其弟朱国祯要与名家请教,名家不敢迎战,在深秋的天气里竟满面是汗,看来朱的打法有拳击加腿之嫌;获得第十三名的赵道新搞了个心会掌体系,借鉴了西方的训练体系,赵曾对国术的弊端进行了无情的批判。
3.都说武术门派无优劣,但这次比赛南派选手普遍不敌北方拳师,南拳选手第一轮全部败北,有的刚交手就被打败,有的简直无还手之力,后为照顾南派,抽签时将南北分开;另太极打法毫无建树,四量难拨千斤。
4.比赛对社会上的空头拳术痛刺一针,“要学打擂台的拳术”成为当时练武着的要求,但持艺者看到其真实效果,反而出现一个空前保守的局面,那些为数不多的技艺再也不胥传人。
5.这次比赛没有看到高深的内功,没有发人于丈外的场面,看看优胜者的打法吧,王子庆运用“你打你的我打我的”的战术打法获得冠军,其不招不架甚至中招反击的打法颇像散打,且身高体壮,以力降人,非传统观念的以巧取胜,倒合乎现代比赛分体重级别的观念;朱国禄借鉴拳击打法,善于声东击西,虚实结合,想起了人们对散打的指责:拳击加腿;第四名曹宴海,公认的第一高手,不怕“起腿半边空”,以里缠外踢,勾挂起落易如手便的腿法横扫各路豪杰,因照顾面子,让拳获得第四,与重视腿法的散打还是有着相近的一面。其实现在的散打在试验阶段主要在武汉体院和北京体院进行,其领头人分别是温敬铭和张文广,都是当初中央国术馆的学员,散打和传统的关系他们应该更清楚。
6.高手在民间吗?高手不食人间烟火吗?有一江西老僧上台比试,被打塌头骨,抬上救护车;最后比赛的最优胜者都是中央国术馆的学生,相当于现在的国家队,且多来自河北山东,民间未见高手。 

「1929年浙江国术游艺大会纪实」

http://qttjw.com/show_hdr.php?dname=RE0HF01&xpos=35

 

(注) もとの記事を浙江省武術協会のサイトで見つけることができないけれど、幸い「銭塘太極網」に、エバーノートに保存していたものと同じ記事があった。

 たぶん、上記の記事のベースになっていると思われる、凌耀華が1986年に雑誌『武魂』に発表したという文章(孫禄堂武学文化網より)をついでに以下にはりつけ。この文章をベースに、息子(?)の凌懿文が杭州国術遊芸大会についてまとめたものが、『浙江伝統武術簡史』(学苑出版社)に載っている。

 

www.sunlutang.com

www.sunlutang.com

 

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だいぶ話を広げてしまったのでうまくまとめられないけれど(苦笑)、一連の報道の中から、自分のなかでジェット・リーの武術観と、杭州国術遊芸大会の例を特にメモしておきたいと思ったのは、やっぱり、武術をやる目的は十人十色でいろいろあっていいけれど、競技にしても実戦にしても、それぞれの目的に達するためには、専門的な訓練が不可欠ということが気になったのだと思う。
その意味では、自分の考えは、以下の二つの記事にかかれていることと近い。

 

martialab.hk01.com

 

 

www.ftchinese.com

 

 現代社会において、だれもが、かつての「鏢師」や、要人警護のSPのような覚悟で武術をやらなければいけないとは思わないし、仮にそのような覚悟をもったところで、そう簡単に技が見につくわけでもないと思うけれど、武術の世界では素人とプロの境界があいまいで、怪しげな「功法」や自称「大師」が蔓延している状況はやはり問題があるだろう。「大師」とまでいかなくても、フィットネスの先生や、競技武術の選手まで「武術家」と呼ばれるような状況にも、すごく違和感がある。

その意味でも、今回のような問題は、ある意味、起きるべくして起きた問題提起だとも思われ、「果し合いは禁止」ということで事態の収拾を図るのは業界団体としてはまっとうな判断だったかもしれないけれど、政策的に競技スポーツ化を優先してきたことのツケモ含めて、いろいろな問題が抉りだされたことは間違いなく、そうした問題に真摯に向き合うチャンスを逃してしまった感も否めない。今後どういう展開になるにしても、一つの象徴的な出来事として語り継がれることになる気がする。

とりあえずの備忘録として。

 

書き込もうと思った直前に見かけた以下の記事も、なんだか心に沁みた。

ameblo.jp

 

高段位認定者(2017.4、2016.7)のアップデート

2017年4月25日、中国武術協会が高段位者の認定に関する通知を発表した。

それで調べてみたら、前回メモした2015年12月の認定以来、2016年6月にも何瑞虹ら26人の段位認定が行われていたことがわかったので、今後の参考のために、それぞれ簡単にメモ。

 

1.2016年7月の高段位認定者

  北体大の何瑞虹老師(九段に認定)には、かつて留学中に何コマか授業を持っていただいたけれど、全然要求された動きができなかったという苦い思い出あり(苦笑)

中国武术协会关于批准何瑞虹等26人晋升武术高段位的通知
2016-07-27
武术字〔2015〕248号

中国武术协会关于批准何瑞虹等26人晋升武术高段位的通知

各省、自治区、直辖市、计划单列市、新疆生产建设兵团体育局武术运动管理中心(武术管理部门),各行业体协武术管理部门,武术之乡,有关体育院校、师范院校和武术馆校,中国武术协会各单位会员:

经中国武术协会高段位评审委员会评审,中国武术协会批准何瑞虹等26人晋升高段位。名单如下:

 

 一、九段(3人)

  北体大 何瑞虹

  福 建 林荫生

  山 东 李成银

 二、八段(23人)

  北 京 黄凌海白淑萍

  天 津 齐玉华

  黑龙江 张植彬孙玉滨

  上 海 方 媚花妙林

  江 苏 王庆玉

  安 徽 梅爱春

  山 东 杜月英孙丛宅陈晋元、刘锦明、刘桂林

  河 南 刁山多

  湖 北 秦子来

  湖 南 邹寿福

  广 东 王军杰

  海 南 肖 勤

  云 南 李 斌

  北体大 李士英

  武 体 梁亚东

  沈 体 赵秋菊

中国武术协会

2016年6月27日

中国武术协会关于批准何瑞虹等26人晋升武术高段位的通知 ——中国武术在线 政策法规

 

以下は、いくつかの関連動画。 

 

〇1983年のドキュメンタリー『武林天地』 5分11秒あたりに何瑞虹の総合査拳がある。足腰の粘りが見事だなあ。「歩賽粘」というのはこういうことを言うのかな。 

www.youtube.com

  

〇白淑萍(八段)の楊式太極刀

www.youtube.com

 

〇斉玉華(八段)の八極拳

v.youku.com

〇花妙林(八段)猴拳

www.youtube.com

  

〇刁山多(八段)がフィーチャーされた『功夫少林』第二集

www.youtube.com

 

 

2.2017年4月の高段位認定者

 この通知では、氏名に間違いがないか確認して、所定の期日までに経費を振り込むようにという指示も出ていて面白い。それによると、八段は600元、九段は700元が事務経費に必要とのこと。

  今回調べてみて、山東で八段に認定された劉宝印は、張玉萍を育てた人なんだとわかった。

中国武术协会关于批准方婷等26人晋升武术高段位
2017-04-27 12:14
中国武术协会关于批准蔡仲林等26人晋升武术高段位的通知
武术字〔2017〕147号
各省、自治区、直辖市、计划单列市、新疆生产建设兵团体育局武术运动管理中心(武术管理部门),各行业体协武术管理部门,武术之乡,有关体育院校、师范院校和武术馆校,中国武术协会各单位会员:
经中国武术协会高段位评审委员会评审,中国武术协会批准蔡仲林等26人晋升高段位。名单如下:
一、 九段(5人)
 湖北 蔡仲林
 福建 胡金焕
 山东 吴秀美
 湖南 晏西征
 河南 朱天才
二、八段(20人)
 北京 刘树春 李亚萍
 河北 郭贵增 王志海 常玉刚
 吉林 栾玉香
 上海 方 婷
 江苏 张志毅
 浙江 徐昌文 林孝桐
 安徽 刘奇功 梅家新
 福建 孙崇雄
 山东 刘宝印 王俊法 刘 鹏 崔志强
 河南 李 惠 高连成
 陕西 肖关纪
三、荣誉八段(1人)
 陕西 田苏辉
  附件 1.关于2017年高段位人员晋段费用等有关事宜的说明
2. 高段位服装样式及联系方式
                中国武术协会
                2017年4月25日
关于2017年高段位人员晋段费用等有关事宜的说明
一、请各单位核对所属晋段人员姓名书写是否有误,并及时反馈。
二、《中国武术段位制》规定,所有晋升高段位者,必须是中国武术协会个人会员,还未加入中国武术协会会员的人员,需要及时办理入会手续,逾期会员需要重新办理入会手续,否则,取消高段位资格。
三、晋段费用标准及交纳方式
根据《武术段位制工作指导意见》规定,高段位收取服务费标准为:八段每人600元、九段每人700元。
请将服务费汇入此帐户:
户 名:国家体育总局武术运动管理中心
开户行:工行北京体育馆路支行
帐 号:0200008109026408218
四、各项费用及相关手续须在7月10日前完成,逾期将取消其获得的高段位资格。
五、联系方式
联系地址:北京市朝阳区安定路3号,国家体育总局武术运动管理中心段位制办公室,邮编:100029
联 系 人:张路平 陈晓卉
联系电话:010—64912172
传 真:010—64912172
网 址:中国武术协会网站:www. wushu.com.cn
中国武术段位制官方网站:dw.wushu.com.cn
中国武术协会段位办电子信箱:duanweiban@126.com
          中国武术协会
                  2017年4月25日

 

中国武术协会关于批准方婷等26人晋升武术高段位

 

以下、同じく関連動画。

 

〇 晏西征(九段)の特集番組

www.youtube.com

 

〇王志海(八段)のドキュメンタリー

www.youtube.com

 

〇王志海(八段)の瘋魔棍 

www.youtube.com

 

〇常玉剛(八段)の八極拳(逆光なのが残念)

www.youtube.com

 

〇2017年1月時点での段位認定者のリスト

全国太极拳武术段位排名榜-中国太极拳网

 

 

〇2015年12月の高段位認定についてのメモ

zigzagmax.hatenablog.com

 

 

 

『激闘!アジアン・アクション映画大進撃』

『ドラゴン・ガール』のメモの最後に、アジアのアクション映画が旬なのか?とメモしたら、数日後にこの本が出版されてびっくり。さっそく手にとってみると、充実した中身で(とくに、知野二郎「伝説の映画帝国、邵氏兄弟有限公司 ---その栄光と波乱の興亡史」は必読)、さらにびっくり。いろいろと勉強することができた。

  

映画秘宝EX激闘! アジアン・アクション映画大進撃 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)

映画秘宝EX激闘! アジアン・アクション映画大進撃 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)

 

zigzagmax.hatenablog.com

 

 

とりあえず、このブログの観点から興味深かった点をメモ 

※順番は本を読みながら思いついた順

 

1.ヒーローアイコンとしてのイップ・マン
 イップ・マンは、黄飛鴻を引き継ぐ新たなヒーローアイコンと紹介されていたけれど(藤本洋輔「イップマン ムービーズ 黄飛鴻に代わる新たなヒーローアイコンの誕生」)、個人的には、黄飛鴻を引き継ぐというよりは、「精武門」ものの「陳真」の役割を引き継いでいる気がする。
 
 陳真は、アクション俳優の登竜門的役回りとして、ブルース・リー以来いろんな人が演じてくるなかで、日本人をやっつける民族的正義の象徴的なキャラクターだったのが、日本人の恋人を作ったり(ジェット・リーの『精武英雄』)、敵役が同じ中国人になったりして(チャウ・シンチーの『新精武門一九九一』(未見))、平和的な人物に描かれてきたことは、ときどき指摘されるところだし、なによりも虚構の人物であるということがそろそろ理解されてきているようにも思われる(そんなこと関係ねえ、といって新しい映画を作っちゃう某兄さんもいるけれど)。

 

 そんな中、ブルース・リーが演じた頃の陳真像のように、中国の観客がよろこぶ形で痛快に(もちろん、やむをえない状況に追い込まれてという設定だけど)日本人をやっつけたのが『序章』のイップ・マンで、公開当初は香港よりも大陸のほうで、官民そろって高く評価されたように覚えている。ただ、ドニー版イップ・マンも、現在日本で公開中の第3作で、はやくも平和的な人物と化し、クライマックスも中国人同士・同じ流派同士で戦うことになってしまっているのは面白い。

 

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 陳真像との比較で、黄飛鴻のヒーロー像がどんなものか、過去の作品を見ていないのでよくわからないけれど、同時代的に熱狂したジェットー・リー版だけをとってみても、『天地黎明』の冒頭では列強に植民地化された状態を憂う場面もあるなど硬骨漢のイメージだったのが、シリーズが進むにつれて、だんだんとお説教好きで、お色気には弱い堅物として茶化されるような場面もでてくるなど、このキャラクター像の変遷・愛され方も面白かった。

 

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 『イップ・マン3』のドニー・イェンとの八斬刀を使ったアクションが印象的で、この本でもプッシュされているマックス・チャン(張晋)は重慶出身なんだ。やっぱり火鍋とか好きなのかな?

 

www.youtube.com

 

2.カラ・ワイ
 マックス・チャンと同じく巻頭インタビューに登場。
 このブログでは、金象賞の助演女優賞にノミネートされた『捜査官X』での演技が印象に残ったことをメモしていた。『ドラゴン・ガール』についてメモした際に東南アジア各国のアクション映画もいくつか検索し『ミセスK』の予告編も発見していたのだけれど、この主演の人が同一人物だとは気づかずに、スルーしてしまっていた。
 インタビューでは「指の小指があらぬ方向に曲がってしまったりした」とか「男の人のパンチをお腹に50回ぐらい受けなければならない撮影などが普通にありました」などの現場の苦労が生々しくてとても興味深かったけれど、やっぱり大陸から流れてきたときの苦労話を聞いてほしかった気も。(本人は語りたくないかも。)

 

www.youtube.com

 

3.ウー・ジン
 ウー・ジン呉京)が「北京体育大学に在学中、ユェンウーピンに見いだされ」と書いてあって(P.149の注)、これって北京武術隊もある「什刹海体育運動学校」の間違いじゃないのかと思って調べてみたら、確かにどのサイトでも「北京体育大学卒業」と紹介されている。
 なので、それで間違いないのかもしれないけれど、1974年生まれで、6歳で什刹海体育運動学校、89年に北京武術隊に入り、1995年ごろからは映画やドラマに出演している。体育大学卒業が正しいとして、いつからいつまで在学していたのか不思議。

 ちなみに、改めてプロフィールを調べてみると満州族で祖姓は烏雅氏、ご先祖は「正黄旗」というのはびっくり。(カラ・ワイの祖先も満族正黄旗だったはず。)

 

baike.baidu.com

 

吳京 (演員) - 维基百科,自由的百科全书

 

 なお、この本では、ほぼスルーされているけれど(この本が一押しの、ドニー・イェンとのいがみ合いがあったからだろうか?)、チウ・マンチェク(趙文卓)は北京体育大学の代表チームのメンバーとして全国競技に参加しているのを実際に見たこともあるので、間違いなく北京体育大学卒業。ウー・ジンが同じように(北京武術隊ではなく)北京体育大学の代表チームの一員として全国競技に出ていた時期なんて、あったかな。 

 

4.ジェット・リー
 巻頭の口絵の部分で、ジェットというのは、漢字の「杰」(標準語ではjie)の字の英語読みから来ていると紹介されていた。
 調べてみると公式サイトの、ジェット・リーからのファンへのお返事に、似たような趣旨のことが書かれていた。そんな由来だとは知らなかった。

 

Fanmail 1999年5月12日 (ジェット・リーと言う名前の由来について )

 

 余談ながら、ときどき、李連「傑」という表記と李連「杰」という表記を見かけるけれど、この本では劉文兵氏の文章は前者、それ以外の日本の執筆者で言及されている場合は後者が使われていた。
 「杰」は「傑」の簡体字・俗字と考えると、日本語の文章では劉氏のように李連傑とかくべきじゃないのかなあ。


5.その他中国大陸系
 最初の武術映画は、任膨年監督の『車中盗』(1920)、その後1928年の『火焼紅蓮寺』が大ヒットして、1928年から1930年までの3年の間にカンフー映画は160本以上作られたものの、国民党政府が「非科学的な迷信を広める恐れがあり、群衆が蜂起する場面は共産匪の反乱を想起させる」として規制をすることになった。現存する唯一の同時代のフィルムは、文逸民監督の『紅侠』とのこと。(劉文兵「中国クンフーアクション映画の系譜  その起源と独自の歩み」)。

  ただし、ネット上には、1925年の『劫後縁』という作品の動画もある。1925年というのが正しければ、こっちのほうが古くなるのでは? また、同じ1928年の作品には『大侠甘鳳池』というのが以前はyoutubeで見られたのだけれど、いまはアカウントがなくなってしまっている。
 『紅侠』はネット上で動画が見られる。映画はモノクロだけど、主人公のコスチュームはタイトルどおり赤が基調なのだろう。そうした点や、孫悟空のような登場人物、空を飛んでいる表現などは、義和団のイメージと確かに重なるし、規制を受けてしまったのもわかるような気がする。

 

〇『紅侠』(1928)

www.youtube.com

 

〇『劫後縁』(1925?)

v.ifeng.com

 

 この頃の出演者や武術指導の人について、詳しい情報はないけれど、以前に読んだ『話説摔跤与上海』に、精武体育会出身の査瑞龍が月明影片公司の社長に見初められて、いくつかのサイレントの武侠映画に出演して人気を博したと書いてあったことを思い出した。何か調べるとしたらこのあたりがきっかけになるかもしれない。

www.91soumu.com

 

〇聶宜新編著『話説摔跤与上海』の査瑞龍の紹介(P.194)

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・大陸の新秀として、シュー・ハオフォン(徐浩峰)監督とワン・バオチァン(王宝強)を押してくれているのはなんだかうれしかったけれど、ソン・ヤン(宋洋)と並ぶ徐監督作品の常連だった故・承恵の雄姿が『師父(邦題:ファイナル・マスター)』では見られないのがさびしい。

 ワン・バオチァンは売れっ子だから主演作を数え上げたらきりがないかもしれないけれど、初のアクション映画主演作にして、カラ・ワイとも競演した(恋人のお母さん役)『蔡李佛拳』について語っておくべきだったのでは。

 

『蔡李佛拳』の王宝強

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写真は以下の記事から

www.1905.com

 

〇過去メモから。その後公開された『カンフージャングル』では、ワン・バオチャンのシリアスな方の演技で話題に。

zigzagmax.hatenablog.com

 

 

 あと、大陸系の名優では、少林寺で片や主人公の師匠役、片や敵役としてジェット・リーを支え、その後も数々の作品で重要な役回りを演じ、存在感を示してきた于海や于承恵ほかの人たちは、この本の趣旨とはあわないかもしれないけれど、もっと評価されてよい気がする。

 于海・于承恵クラスには劣るかもしれないけれど、徐向東の悪役としてのはじけっぷり(ミシェル・ヨーの『詠春拳』、ドラマ版『セブン・ソード』『奪標』)や、計春華のいるだけで絵になる存在感はいつも見事。

 

 〇『阿羅漢』の于海VS于承恵

www.youtube.com

【于海主演】电影,电视剧全集_于海影视作品大全推荐-2345影视明星

于承惠电影全集_于承惠最新电影_于承惠演过的电影作品【2345电影大全】

【徐向东主演】电影,电视剧全集_徐向东影视作品大全推荐-2345影视明星

【计春华主演】电影,电视剧全集_计春华影视作品大全推荐-2345影视明星

 

〇『奪標』の徐向東VS張衛健 

関係ないけど、この映画ではユー・ロングァンが中央国術館の張之江館長を熱演

www.youtube.com

 

〇『レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター 電光飛龍/方世玉2』のジェット・リーVS計春華 

www.youtube.com

〇計春華

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写真は以下の記事から。

娱乐圈第一反派 功夫不输李连杰 老婆竟是“彩霞”

www.chinanews.com

 

6.その他
・袁和平は袁小田の息子だったとは、意識してなかった。

ピーター・チャン(陳可辛)は名監督チェン・トンミン(陳銅民)の息子で、

 

ピーターは、チャン・チェの代表作『ブラッド・ブラザース/刺馬』(73年)を『ウォーロード/男たちの誓い』(07年)としてリメイクすると、張家班オールスター映画『上海13』(84年)の強い影響下にある作品として『孫文の義士団』(09年)を、そして『片腕必殺剣』を『捜査官X』(09年)として次々とリメイクすることで、チェン(ママ)・チェへの深い敬意を示した。このピーター・チャンこそチャン・チェの残した“陽剛精神”の遺伝子を継承する新たなる“武侠宗師”であると言えよう。P.66

なんて記述がさらっとでてくる知野二郎さんの知識は本当にすごい。

 

・『五毒拳』(別の映画(『五遁忍術』)と間違えるというちょっとした手違いで以前にDVD入手済み)の武術指導は、イップマンの弟子・梁相が教えた梁挺(リャン・ティン)で、『五毒拳』こそ「早すぎた暗黒詠春拳映画」(P.64)であった。これは、もう一回みなきゃ。

  ちなみに、『五遁忍術』も、奇想天外なアイデアとビジュアルで、一回見たら忘れられない映画。

 

〇『五毒拳』

 パッケージには「武術指導は詠春拳の大家リャン・ティン」と確かに書いてあるけれど、そこから梁相、葉問と遡れなかった。

五毒拳 [DVD]

五毒拳 [DVD]

 

 

〇『五遁忍術(邦題は少林拳対五遁忍術)』の金ぴか忍者 (全然忍んでないし(笑い))

写真はここから

Five Element Ninjas – Vintage Ninja

 

・シラット映画
 スクリーンにシラットが出てくるのは最近の傾向なのかと思っていたら、実は70~80年代、インドネシアでは「シラット映画」と呼ばれるアクション活劇が人気を博していた(P.243)らしい。

 

 

・・・・・なんか、いろいろ詰め込みすぎた気がするのでこの辺で。あつい思いのこもった本を読んだおかげで、こちらも妄想が膨らむ膨らむ。

総じて、こんな本を読んでしまうと、いろんな映画のDVDがほしくなってしまって仕方がない(泣)

 

大学受験と武術2

中国の大学受験はこれから本格シーズンにはいるのかな。

「武術と民族伝統体育」専攻では、今年は新たに雲南民族大学が募集を行うらしい。

 

news.xinhuanet.com

 

その名もずばり大学受験生向けの「高3ネット」によると、「武術と民族伝統体育」専攻があるのは41校。2015年のメモでは47校あったようなので、学校数ははむしろ減っていると理解すべきか。

同サイトに転載されている中国科教評価網の「金平果排行」のランキングでは、意外といっては失礼だけれど、一押しは成都体育学院になっている。(2016-2017は上から上海体育学院、北京体育大学成都体育学院の順)。ランキングの基準はよくわからない。

雲南師範大学はいきなりベスト10入り。

 

武术与民族传统体育专业大学排名[2017-2018年]_高三网

 

同じサイトの、こっちのページには各校の簡単な紹介も。

武术与民族传统体育专业最好的大学排名_高三网

 

関連で、「百度百科」の「全国十大武術学校」と「十大武術名校」。だれがどう選出したのか不明。若干異同あり。

〇十大武術学校

zhidao.baidu.com

〇十大武術名校

中国十大武术名校是哪些?_百度知道

 

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武術学校から体育大学への進学ということでは、映画『武術之少年行(邦題:拳師 ~The Next Dragon~ )』は、武術学校で学び、往年の名選手だったお母さんが成功させた「難度動作」を完成させて体育大学への進学を目ざす少年とその仲間たちの成長を描くという、一風変わった武術映画だった。主人公を悪の道に引きずり込もうとするのも、以前は省の代表選手に選ばれた同じ学校の元エースだった先輩、もう一人のエース級の先輩は映画のスタントの世界に足を踏み入れ、監督に罵倒されながら辛い日々をすごしている。

同じ学校で学ぶ少年たちの成長を描くという意味で、現代版『七小福』(DVD化熱望!)を目指したのかもしれないけれど、『七小福』は、映画スターに成長した子供たちが辛かった修行時代を振り返るというお話だったのでよかったけれど、この映画では明るい未来というよりは、厳しい現実のほうが前面に出ていた気がする。

この映画、公開当時ジャッキー・チェンが強烈にプロモーションしていたけど、主演の二人などその後どうしているんだろう。

 

〇映画『武術之少年行』より、サモハン先生(作中では李老師)が武術の目的を生徒たちに語るシーン。「難度動作の創作」など、ある種の価値観が明確に語られていて、(同意するかしないかは別として)興味深い。

 

「・・・武術の目的は、相手を攻撃したり、傷つけることではない。・・・「武」の中に「藝」、「藝」のなかに「術」がなければならない。・・・武術では、勝つか負けるかは重要なことではない。武術の四つの基本とは、スピード、跳躍力、バランス、柔靭性だ。この四つが揃って、新しい難度動作を作ることができる。」

ここで、子供が質問する。「先生、相手がいなくてどうやって勝負が決まるんですか」

サモハン先生の答え「試合には相手はいないが、同時に、武術を撰んだ人間は、同時に、一生のライバルを選んだことになるのだ。自分というライバルをな。試合のたびに、前回の自分よりもさらによい演武を目指さなければならないのだ」 

 

www.youtube.com

 

関連の過去メモ

zigzagmax.hatenablog.com

 

拳師 The Next Dragon ジャッキー・チェン サモ・ハン・キンポー LBXS-305 [DVD]

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〇七小福 DVD化を強く希望

kungfutube.info

 

 

「鷂子高三」など

たまたま「鷂子高三」こと高占魁について調べていたら、最近「鷂子高三」という映画がクランクインしたというニュースがヒットした。

www.qqgfw.com

 

また、気づかなかったけれど、2016年の9月には、陝西省銅川市耀州に鹞子高三記念館がオープンしていた。

www.yunzhishou.com


少林拳術秘訣』にでてくる「高某」「三原高氏」について、唐豪はその実在を疑問視していたけれど、笠尾恭二編訳『宗法図説 少林拳術秘訣』によると、この「高某」「三原高氏」は、近年になって陝西省三原出身の高占魁(春明と号した)に比定されているらしい。同書から、そのあたりを解説した部分。

 

〇編訳者による解説部分

…巻末の先人語録に原著者が師事した日本人老師「津川氏」の名が見え、またその次には猴拳達人「三原高氏」の語録が掲げられている。

 この「高氏」は前半から登場し、原著者に極めて強い印象を与えた人物であったことがうかがえる。にもかかわらず、唐豪ら多くの研究者はその実在性を否定していた。だが、私は最近になって三原(陝西省)に清末、高春明(通称「飛腿高三」)という当時著名な達人が実在していたことを確認できた。P.287

 

〇本文の一部と、※印以下は編訳者による注釈

 三原高氏(※)は言った。

 

 猴拳の創始について、ある人は華佗祖師の五禽戯に始まるという。しかしながら当時の五禽図に描かれた手法を考察すると、猿の動きの一部から工夫して腰腎鍛練の法としたものに過ぎない。八段錦にもある「老猿搬尖、腎腰を固くす」の導引法と同じである。技撃としての手法、身法を伝えたものではなかった。

 先輩たちから伝わった話によると、実は猴拳の起こりは山西の馬氏であるという。馬氏は中年になってから山に入り技撃を修練していたとき、たまたま出会った某道士からこの術を授かったとのことである。

 身のすばやいさばき、眼光の鋭敏さ、体躯の活発な動きなど、世の中に猿の右に出るものはない。ゆえに人は猿から法を取らざるを得なかったのである。

 

 ※訳注

「三原高氏」は本書原著者が各地で交流した武術家の中でも重要人物の一人となっている。しかし原書に高という姓はあっても名が無く、これまで実在の人物か否か確認されたことはなかった。ところが近年刊行された洪述順『五套伝統武術』(陝西人民教育出版社一九八七年刊)によれば、陝西省三原県に清末、高春明という著名な武術家がいて、現代までその武術が伝来しているという。「三原高氏」について初めて公になった記述として重要である。それはまた本書原著の信頼性を高める貴重な資料ともなるので、ここにその一部を引用しておきたい。

 「高春明先生は陝西省三原県の人である。幼少から武術を習い、全国各地をあまねく歩き、武林の名師を訪ねては師として学んだ。修練の功は深く、軽功、硬功、軟功、地躺功などいずれにも通じて、『飛腿高三』などと呼ばれた。その武術套路は南北拳撃の長所を一身に集めたものであり、拳法として技法にすぐれ、また身体鍛錬法としても価値が高く、西北地方だけでも数十種の型が流伝している。」

 なお、原書には、もうひとり高姓の人物として「先師高濼園先生」が現れる。「先師」というからには旅先で単に短期間交流した「三原高氏」とは明かに同姓異人と見なすべきであろう。PP.380-381

 

気になって手元の別の資料を見てみると、中国武術人名事典』(1993年…①)と中国武術百科全書』(1998年…②)の高占魁の条の書きぶりはよく似ていて、②は①を下敷きにしていると思われるけれど、①にはない『少林拳術秘訣』に関する記載が付け加えられていることがわかる。

 

〇『中国武術人名辞典』「高占魁」の項

高占魁

1816-1903

别号“鹞子高三”。武术家。陕西高家拳创始人。陕西三原人。4岁从大哥练武。道光十年(公元1830年)从僧人园净长老习艺,后到河南少林寺入徒3年,学心意拳,六合拳,十字战拳与棍术等。先后结识陕西名拳师“黑虎邢三”,“饿虎李四”等,被誉为“关中四杰”。继又从山东,湖北高手为师,其技击,轻功,刀法,棍术等,达到炉火纯青的境界。晚年在渭北一带收徒,将古老,分散,只能散式单练的“关中红拳”编串成套,引出“小红拳”,“大红拳”,“二路红拳”等,使之刚柔相济,内外合一,强调内家功的训练以意帅行,化心意为新意,于“关中红拳”中,溶进了“江南的身法”, “河南的跑法”, “山东的打法”,“陕西的刁法”,并于同治初年创立了独具风格和特色的“新意红拳” --高家拳。

 

〇『中国武術百科全書』の「高占魁」の項

高占魁 (1816- 1903)

清代武术家,陕西高家拳创始人。幼名宝童,号春明。陕西省三原县人。农家出身。4岁起从兄练武,天资聪慧,身手矫健,进步颇快。亦从邻居杨青习武。道光十年(1830)起,先后从三源清麓寺僧园净长老、郭存志及北寺马殿二僧习陕拳。后到河南登封少林寺入徒3年,学得心意拳、六合拳、十字战拳与棍术等。成年后,遍游大江南北,寻访名师,先后结识陕西名师“黑虎邢三”、“饿虎苏三”、“通臂李四”。4人被誉为“关中四杰”,以占魁为首。又从河南丁文庆、山东王氏、山西杨氏、江南汪氏、湖北温氏、河北何氏等习少林拳通臂拳、花拳、猴拳等。为学习腿法绝技,占魁当店铺雇员一年,方得秘传腿法。因其武功高超,腿法精绝,纵窜如“鹞”,故又称“飞腿鹞子”;又因其行三,还称“鹞子高三”。擅技击,善用腿,轻功绝好。据《少林宗法》载,高占魁以精于猴拳名扬关内外。《少林拳术秘決》称其为陕西技击最著者。晩年在渭北ー带广收门徙,将古老、分散、只能散式单练的“关中红拳”编串成套,引出“小红拳”、“大红拳”、“二路红拳”等,使之刚柔相济,内外合一。强调“内家功”的训练以“意”帅“行”,化“心意”为“新意”,于“关中红拳”中融进了“江南身法”、“河南跑法”、“山东打法”、“陕西刁法”。同治初年创立了“撑补为母、勾挂为能、化身为奇、刁打为法”的风格独特的“新意红拳”,即陕西高家拳,又称“鹞子拳”。其代表拳艺有红拳、炮捶、子拳(猴拳)、子棍。高家拳在陕西、甘肃、四川、河南诸省流传较广。 (昌沧)

陳亜斌『三秦武術』(2010年…③)の高占魁を紹介したページでは、①、②に見られる少林寺での3年間の修行についての言及がなく、かわりに終南山の猟師を生業とする師匠のもとで3年修行したとの伝説が紹介されている。(この伝説が意外に面白かったりする。) 高占魁が「三原高氏」であり、実在の人物であるとしても、彼を少林寺と結びつけることまでは確認ができていないのかもしれない。

 

〇陳亜斌『三秦武術』から。 

猟師である師父が外出している隙に、師母に後ろからいきなり抱き付き、異常を感じた師母が無意識に秘伝の「裙攔腿」でこれをはねのけると、「師母(師娘)、感謝します」といって去っていったという。わけがわからぬ師母、師父が帰ってきたところで、高三が失礼なことをするから、秘伝の蹴りを見舞ってやったわ、と師父に告げると、師父は「やつが欲しかったのはまさにその蹴りだったんだよ」といい、二人で顔を見合わせて笑ったのだというお話。伝説の域を出ないお話ではあるけれど、セクハラを装って秘伝を得るとは…。

关于“鹞子高三”带艺投师的传说讲道:“鹞子高三”行走于江湖,带艺投师到终南山驱虎猎豹老拳师处,学艺三年,不得其窍。一日师傅外出,师娘在家,正在厨房做饭,高三上前,突然从身后欲抱师娘。师娘感觉背后异常,回身一个裙拦腿,一腿将高三打出ー丈开外。高三在院庭连叩三个响头,道声“谢师娘!”抱拳拱手而去。师傅回来,师娘眉色飞舞,说起自己如何用家传绝招将徒弟打出丈外。师傅看着毫无心计的老伴,说出了谜底:徒弟学艺三年,要的就是这ー腿,如今,腿招已露,徒弟已得真传,自然离去,不会再回。两人相对一笑,显出无奈状。PP44-45

 

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また、②、③では郭存志(③では耀県の人物とされる)に学んだとされているけれど、陝西武術網にも掲載されている胡克禹「“高家拳”是耀州武术极为珍贵的 历史文化遗产」④では、名前はやや違うものの高占魁は紅拳大家の郭従志に学ぼうとしたが、果たせなかった、とされていて、異同がある。

 

耀州野狐坡の紅拳大家郭従志に師事しようとしたが果たせず、のちに兄の紹介により三原県峪口山清麓寺の僧・圓静趙老を師とし紅拳を学ぶ

 

早先求师耀州野狐坡红拳大家郭从志未果,后经大哥引荐,拜三原县峪口山清麓寺僧人园静长老为师习练红拳」

 

生没年も、①、②は1816-1903だけど、③は1816-1902、④や、陝西省非物質文化保護中心のサイトでは1812-1904と資料によってバラバラ。このあたり全部含めて、高占魁の活動については、詳しいところは資料がないので確認できないことも多いのだろう。

それでも、 彼の功績として、個別の技法(招数)として存在していた紅拳を套路化し、それによって技法が整理されたことを多くの記事が指摘している。とりえずのメモとしてはそれでよしとしておこう。

 

同時代の人物としては潼関の餓虎蘇三(蘇海潮)、臨潼の黒虎邢三(邢福科)、「通背」の李四(④は耀州の人物とする)がいて、「三三(敢えて日本語にすると「三人の三男坊」みたいな感じか?)」とか、「漢中四傑」などと称されるらしい。

 

〇陝西武術網の胡克禹「“高家拳”是耀州武术极为珍贵的 历史文化遗产

この記事は、同治三年に、固原提督雷正綰の武術教習となったこと、1863年に陝西布政司団巡撫の張集馨の探弁(高級警衛)を務めた、などと記述が具体的なのが興味深いけれど、どのような史料に基づいているのかは不明。

www.sxwushu.cn

 

CCTV『走遍中国』の 『武林伝奇』シリーズには紅拳を特集した回があり、高鹞子の子孫が登場。ここでは伝説とことわりながら、高鹞子は山西巡撫の保鏢でありながら、太平天国の石達開の密偵であったと紹介されていたりして、びっくり。

 紅拳体系の中の猴拳らしき動画も出てくる。陝西チームのお家芸の一つに猴拳・猴棍がある(あった?)けれど、それはこういう伝統の中から生まれてきたのかと納得。(趙長軍は実際、紅拳の張俊徳に師事している。)

 

zigzagmax.hatenablog.com

 

〇以下の記事では、戚継光の『紀效新書』「拳経捷要篇」の三十二勢には紅拳の技が多く含まれ、陝西方言によって説明されている部分も多いとされている。具体的にどこが陝西方言なのか、気になる。

戚继光在《纪效新书·拳经捷要篇》收录了红拳较多内容,《太祖红拳三十二势》中详细介绍了红拳,用许多陕西方言记载了红拳的技法特点,至今红拳还在沿用。

www.xinyaozhou.com

 

〇長年、陝西省武術隊を率いた馬振邦が晩年、紅拳の保護に熱心であったことは以前にメモした。紅拳は国レベルの非物質文化遺産に認定されている。

zigzagmax.hatenablog.com

 

映画『鹞子高三』、完成したとしても日本で公開されることは100%ないと思うけれど、機会があったら観てみたい。

 

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『ドラゴン・ガール』など

先日、シラットを題材にしたブルネイ初の長編映画という、掲題の作品の上映会と監督によるトークがあった。

 

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jfac.jp

  

シラットが得意な幼なじみの気をひくために高校でシラット部を作った女の子・ヤスミンが主人公で、「あんな危険なものはやめなさい」というお父さん(反対するのには別の理由があることがのちに明かされる)との葛藤や、いずれも初心者の部員2名たちとのやりとり、ライバルで恋敵の女の子との確執などが描かれる青春映画だった。主人公の行動はややな唐突なところもあったけれど、シラットを通じて成長してゆく様子も描かれていて、見終わったあとはなかなか爽快な気分に。

 

シラットを題材にした映画なので基本的に中国武術とは関係ないのだけれど、まだシラットを本格的に学ぶ前の主人公が、本人いわく「タイチーとウィンチュンをミックスしたもの」を披露するシーンがあった(中身は「五歩拳」の後ろにいくつか動作をくっつけたものだった)。タイチー(太極)はともかく、ウィンチュン(詠春)がでてくるのは、近年のイップマンの影響なのか、もともとブルネイあたりではウィンチュンが一定程度普及しているのか、そのあたりのことは不明。

 

アクションは、香港のチャン・マン・チン(とカタカナで書かれてもよくわからない)が手がけたらしい。試合では、高校生たちがなにも防具をつけずに、素手でハードに攻防をしていて、中国武術でいう後掃腿のような技で相手が板の間に叩きつけられるようにひっくり返るシーンも。
そんな感じなので、アフタートークでも来場者から「こんな危険な競技が本当に行われているのか」という質問がでていたけれど、防具をつけると亀みたいでビジュアル的に格好悪いので、演出上、防具をつけず素手で殴りあうことにしたらしい。
それって、アフタートークがあったから確認できたけれど、一般の観客が見た場合、シラットという競技を誤解することにならないのかなあ。

映画を通してシラットの魅力を伝える、ということでは、すでに『ザ・レイド』などで、もっとえげつないアクションが紹介されているから大丈夫なのかな。


ザ・レイド』のイコ・ウワイスは『スターウォーズ/フォースの覚醒』にも出ていたらしいけれど(ぜんぜん気がつかなかった)、人を倒すための技術としてではない形でシラットの魅力を伝える映画はこれからどんどん増えてくるかもしれない。

SNSなどでは棒術を題材にしたインドネシア映画や、ベトナムのアクション映画などがときどき流れてくることがある。ためしに東南アジアの国名と「martial arts」, 「movie」で検索したら、いろんな映画がヒットした。言葉も含めてぜんぜんわからない世界だけど、いま、東南アジアのマーシャルアーツ映画が旬なのかも?

 

〇FBで流れてきた、トニー・ジャーとイコ・ウワイスのツーショット

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Tony Jaa and Iko Uwais - Martial Arts In Cinema | Facebook

 

ジージャ・ヤーニンがはいったスリーショットも

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Jeeja Yanin - Getting ready for the Triple Threat shoot.... | Facebook

 

 

〇『ドラゴン・ガール』、改めて調べたら、DVDが発売されていた 

ドラゴン・ガール [DVD]

ドラゴン・ガール [DVD]

 

 

〇以前にSNSに流れてきたインドネシアの棒術映画『The Golden Cane Warrior』も『ゴールデン・アームズ 導かれし者』というタイトルでDVD化されていることを発見。
あらためてトレーラーを見ると、「ドラゴンガール」の主人公ヤスミンのお父さん役のReza Rahadian が出ている

 

 

 

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ベトナム発のアクション映画『The Rebel 』

ベースになっている格闘技は何だろう

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〇マレーシアのシラット映画(たぶん)

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シンガポールからも

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〇フィリピンの武術が出てくる映画の特集

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〇これはミャンマーのマーシャルアーツ映画らしい

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カンボジア

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バングラデシュのマーシャルアーツ映画?

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〇本家?の中国・香港映画はCGが全盛な感じで、本格アクションは『師父』の徐浩峰監督に期待するしかない?

 

natalie.mu

 

『師父(邦題:ファイナル・マスター)』

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ファイナル・マスター [DVD]

ファイナル・マスター [DVD]