景梅九著 大高巖・波多野太郎訳『留日回顧 一中国アナキストの半生』
先日、某駅で人と待ち合わせをした際に、待ち合わせ時間より少し早くついたので、近所にあった古本屋に入って見つけた本。
ぱらぱらとめくっていたら、以前にメモした井勿幕、という名前が何度かでてくるのに目がとまったので、とりあえず読んで見た。
○井勿幕についての過去メモ
一読して、このブログとしてストレートに役に立つ情報は得られなかったものの(当たり前)、いくつか興味深いと感じるところもあった。
たとえば、筆者は、山西省から日本に来た初の公費留学生の一人だけれど、出国前後の記述から、当時の山西省の若い知識人たちの間で、傳青主のことが語られていたことがわかって興味深かった。
筆者が井勿幕と陝西省に入るくだりで(1908年頃か)、筆者の仲間で同盟会員の勧功が井勿幕と太源で「剣術を論じ、意見が大いに合った」(P.150)と記されている点以外、特段武術について、面白いネタはなかったものの、当時の状況についての理解はそれなりに深まった気がする。
なお、この本は、景梅九の自伝『罪案』の前半を翻訳したものらしい。中国版の紹介で見る限り、筆者はその後も何度か陝西省に入っており、井岳秀(井勿幕の兄)と共同しているようなので、もし中国語の原文を読む機会があれば、井岳秀やその周辺について、もう少し有益な情報が拾えるかもしれないけれど、やや専門的すぎて、いまのところはその予定なし。