中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

小坂順三『漫游日誌』「馬良将軍」など

1.趙竹光『国術講話』

以前に、国会図書館にあることを確認した趙竹光の『国術講話』が中国のオークションサイトに出ており、中身の写真が掲載されていて、内容が垣間見れたのでメモ。

学習者の年代に応じて、器具を使ったトレーニングや、グローブや柔道着のようなものを着た対戦形式の練習、歩形練習や形の練習などについて触れられているようで興味深い。

なかなか国会図書館まで見に行く時間がないので、ぜひともデジタル資料に加えてほしいところ。

〇趙竹光『国術講話』

写真の出典:小学生文库 第一集 六年级 体育科:国术讲话【商务印书馆中华民国36年初版本】精美插图本_赵竹光 编著_孔夫子旧书网

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2.胥以謙『穿拏拳』

同じく、国会図書館所蔵の穿拏拳も中国のオークションサイトで売られていた。

〇胥以謙『穿拏拳』 

画像の出典:民国版 《穿拏拳》内有许多插图 胥以谦_胥以谦_孔夫子旧书网


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3.小坂順三『漫游日誌』「馬良将軍」

ついでに、久しぶりに国会図書館のデジタルコレクションを適当なキーワードで検索してみたら、「馬良」のキーワードで小坂順三『漫游日誌』がヒットした。

小坂の中国紀行を通信の形で信濃毎日新聞に送ったものの一部のようで、これらの通信文が実際に信濃毎日新聞に掲載されたのかどうかは未確認だけど、済南巡防長の馬良将軍のもとを訪ね、中華新武術等を見たときの短い記録がある。

奥付によるとこの本が出版されたのは大正七年(1918年)だけれど、ちょうどその前年に軍と警察における必修科目とされ、テキストの出版が順次刊行されていた時期にあたり(注)、軍士武術伝習所(通称「技術隊」)から山東武術伝習所が組織されて王子平が摔跤教官となるなど、大きな転機を迎えていた時期にあたり、小坂が見た武術家の中には、王子平その人や、馬良の武術隊で王子平に査拳を教えた楊鴻修が含まれていたかもしれない。そう考えると妄想が膨らむ。どこかに写真など残っていないのかと思いつつ、該当箇所を現代表記に改めてメモしておく。

なお、この記事で小坂は馬良を 「清廉淡泊、快活なる好紳士」と記している。馬良は、兄弟子の張鳳岩(中華民国時代の十八武術家の一人。この人も演武の中にいたのかもしれない)が1923年に保定に帰省するにあたり、保定には回教徒向けの漬物屋(醤園)がないから、やってみてはどうかといって、お金(二千現大洋)をもたせてやったとのこと(張鳳岩の孫の回想文による)。引退する兄弟子の生活を思いやる点、馬良という人の人柄が偲ばれる。武士の商売で、この漬物屋の経営は数年で破綻するものの、漬物の甕を移動させたりすることが筋トレのような形になり、常東昇らの育成に役だっている。戦後は漢奸として処刑されたせいか、こういった馬良についてのエピソードが埋もれてしまっていると思われるのは残念なこと。

 

馬良将軍(第二十六信)
 十時済南巡防長馬良将軍の拳法を見るべく、将軍衙門に訪問す。将軍は回教徒にして、清廉淡泊、快活なる好紳士にて、甚だしく(ママ)士気の退廃を嘆き、十有八年研究の結果、古来百般武芸の内より、一種の拳法を発明し、簡単なる形に仕組み、これを兵士に教え、更に一般学生に普及せしめんと努力致しおり、我が国の新柔道の開山たる加納治五郎氏の如き人物に有之候。
 将軍まず兵士五十人に、その形と仕合とを試ましむ、元気溌溂、頗る面白く候。次に将軍が私費を投じて集めたる天下武芸の老武者をして、各種古式の体術を行わしむ、或は猿に形どり、或いは彪に形どり、飛躍飜騰の妙を極め候。
 更に旧来の各種の武器とその仕合とを示さる、或は双刀を回わし、青龍刀を振るい、大禅杖を輪にする等、水滸伝中に耽読したる融資の面目を躍如たらしめ候。
 その他各種の試みの上、将軍附言して曰く、今日漸く輿論を喚起して、中学程度の学校にて正科として採用するもの日に増加す。この法普及するに至らば、天下の風規(ママ)を一新するを得んかと、将軍一行のために午餐の用意せられたる由、なれども黄河見物時間に近づきたればとて辞去致し候。

 

dl.ndl.go.jp

 

 

(注)

多くのサイトで、中華新武術のテキストの出版は1917年としているけれど、出版は1917年から3年の間に順次刊行されている。具体的には以下のとおり。

〇拳脚科 上編上冊・同下冊 中華民国六年(1917年)九月  (七年十一月二次出版)

http://book.kongfz.com/119490/1326835502/

〇率角科 中華民国六年(1917年)九月
〇剣術科 上編上冊・同下冊 中華民国七年(1918年)十月
棍術科 上編上冊・同下冊 中華民国八年(1919年)十一月 

http://book.kongfz.com/item_pic.do?shopId=9322&itemId=109129104&imgId=4