中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

フォローアップ系の小ネタ

フォローアップ系の小ネタ数件。

 

1.

蘭州で「通備武芸文化伝承培訓中心」が設立されたという。以下に、二つ、関連動画ニュースを貼り付け。一つ目のニュースの中で、同種の組織としては蘭州ではじめて設立されたものと紹介されているけれど、2012年に開催された「2012蘭州国際武術交流大会」の主催団体の中にあった「蘭州通備武学培訓中心」とはどんな団体だったんだろう。と、細かいことは抜きにして、今後の活動が注目される。

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2.

林伯原先生の『中国武術史』で、中国では失われていると紹介されていた『射学正宗』の、皇室のコレクションのデジタル版が公開されていた。

改めて、『中国武術史』で言及されている箇所を引用すると以下のとおり。

明末の高穎が著した『武経射学正宗』(以下『射学正宗』)と『武経射学正宗指迷集』(以下『射学正宗指迷集』)は崇禎十年(1637)に刊行された。しかし、『明史』の「芸文史」および『清史稿』には一切記録されておらず、唐豪氏の『中国武芸図籍考』にも取り上げられなかったことから、中国ではすでに失われてしまった可能性が高い。しかし、これらの弓術書は江戸時代に日本へ輸入され、当時の弓道家たちに絶賛されて日本の弓術に大きな影響を与えている。pp.498-499

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濱口富士雄『射経』に、『射学正宗』の解説があった。該当箇所は以下のとおり。

 高頴『武経射学正宗』三巻『武経射学正宗指迷集』五巻
高頴は、あざなは叔英、明のごく末期崇禎十年(一六三七)の自序が付される。従来中国射において伝統的に行われてきた撇絶射法を批判し、骨節の働きを主体とし、前肩を下に巻き込む工夫を説き、静なる自然の離れを提唱する。これは日本の弓射の理念とも極めて共通するところが存したことと、かつ荻生徂徠が寛政元年(一七八九)に訓点本を出したり、また国字解を出して大いに喧伝した結果、江戸期はもちろん大正時代頃まで日本の弓術に深い影響を与えた。殊に日置流においての摂取には瞠目すべきものがある。『正宗』の方は主として高頴の提唱する射法を理論的に解したり、弓具の選定法が説かれる。『指迷集』の方は射法の遺訓や先人の射法を条条批判するものである。なお、『正宗』捷径門で行射の過程を分析した五法(審・彀・均・軽・注)は、日本では今日に至るまで中国射に言及する場合、実情は必ずしもそうではないのだが、中国射法の典型として挙げられるまでに至っている。PP.31-32

 

3.

戚継光の鴛鴦陣とその変化をCGで再現した動画

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関連して、2011年に東京国立博物館で、以下のような企画展が行われていたらしい。

カタログは今からでも入手できるんだろうか。

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4.

青海の八門拳について、地元のテレビ局のドキュメンタリーと、同番組で取り上げられていた老師の映像。

まさに消えようとしている文化(即将消逝的文化)というタイトルが悲しい。

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5.

フォローアップではないけれど、河南省では、省内唯一の「高等体育院校」である鄭州大学体育学院が温県人民政府と合同で、全日制の武術本科教育を行う「河南太極拳学院」の起工式を行った。総投資額は6.7億元とのこと。(1.の、通備武学の研修センターの投資額はいくらぐらいなんだろう。)

news.sina.com.cn

 

鄭州大学には中原武術文化研究中心という機構があったはずだけれど、気がついたら公式サイトが無くなっていた。

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2019.4.14 濱口富士雄『射経』の、『射学正宗』解題部分を追加