『西遊記2』など
ツイ・ハークの映画は2008年から2010年の中国駐在中に『女人不壊』を観て以来。『女人不壊』は武術とは全く関係ない3人の女性が主人公の映画だったけど、当時観ていた金庸原作のドラマ『雪山飛狐』(2007年版)で苗人鳳(苗大侠)を演じていた方中信が、うだつの上がらない感じの普通のサラリーマン役で登場して、あまりのギャップに驚いたことだけ覚えている。
『西遊記2』は、往年の『蜀山奇傅 天空の剣』のワイヤーアクションやVFXをすべてCGに置き換えたような感じで、ツイ・ハークらしいといえばツイ・ハークらしい奇抜なビジュアルのなかに、チャウ・シンチ―の笑いとほろりとする要素の溶け込んだ不思議な映画だった。ネタバレになるので詳細は控えるけれど、互いに魅かれているのになかなか結ばれない男女という設定も、『チャイニーズ・ゴーストストーリー』や『黄飛鴻』に共通する、ツイ・ハークの得意な世界な気がする。
ここ数年、いろんな西遊記映画が作られているけれど、観ていないので比較はできない。
ツイ・ハークとチャウ・シンチ―のコラボレーションということでは、ツイ・ハークが監督したジェット・リー主演の現代ものの映画に、チャウ・シンチ―がジェットの弟子役で出演していたような気がしていたのだけれど、家に帰って確認したら、それは記憶違いで、ツイ・ハークが監督したジェット・リーの『龍行天下(邦題はハード・ブラッド)』にはチャウ・シンチ―は出ていなかった。チャウ・シンチ―が出ているのは似たようなタイトルの『龍在天涯(邦題はドラゴンファイト)』。この映画ではジェット・リーとティ・ロンは中国武術代表団としてアメリカに表演に来ていたのが、帰国前に兄弟子のティ・ロンが帰国を拒否して失踪し、ジェット・リーもそれに巻き込まれるというストーリー。公演のためにアメリカを訪れた少林武僧が失踪するという事件は実際に起きていて、この映画のストーリーはその辺からヒントを得ているのかもしれない。そういう意味ではなんともあの時代らしい生々しいお話ではある。
ツイ・ハークの作品では、ジェット・リーの『黄飛鴻』は文句なしの傑作ぞろいだけど、『ブレード 刀』のごつごつした感じも好き。
〇『女人不壊』予告編
〇ドラマ『雪山飛狐』より、方信中(アレックス・フォン)VSアンソニー・ウォン
〇『蜀山奇傅 天空の剣』
『龍在天涯』よりジェット・リーの刀術
〇『刀/ブレード』