『ドラゴン・ガール』など
先日、シラットを題材にしたブルネイ初の長編映画という、掲題の作品の上映会と監督によるトークがあった。
シラットが得意な幼なじみの気をひくために高校でシラット部を作った女の子・ヤスミンが主人公で、「あんな危険なものはやめなさい」というお父さん(反対するのには別の理由があることがのちに明かされる)との葛藤や、いずれも初心者の部員2名たちとのやりとり、ライバルで恋敵の女の子との確執などが描かれる青春映画だった。主人公の行動はややな唐突なところもあったけれど、シラットを通じて成長してゆく様子も描かれていて、見終わったあとはなかなか爽快な気分に。
シラットを題材にした映画なので基本的に中国武術とは関係ないのだけれど、まだシラットを本格的に学ぶ前の主人公が、本人いわく「タイチーとウィンチュンをミックスしたもの」を披露するシーンがあった(中身は「五歩拳」の後ろにいくつか動作をくっつけたものだった)。タイチー(太極)はともかく、ウィンチュン(詠春)がでてくるのは、近年のイップマンの影響なのか、もともとブルネイあたりではウィンチュンが一定程度普及しているのか、そのあたりのことは不明。
アクションは、香港のチャン・マン・チン(とカタカナで書かれてもよくわからない)が手がけたらしい。試合では、高校生たちがなにも防具をつけずに、素手でハードに攻防をしていて、中国武術でいう後掃腿のような技で相手が板の間に叩きつけられるようにひっくり返るシーンも。
そんな感じなので、アフタートークでも来場者から「こんな危険な競技が本当に行われているのか」という質問がでていたけれど、防具をつけると亀みたいでビジュアル的に格好悪いので、演出上、防具をつけず素手で殴りあうことにしたらしい。
それって、アフタートークがあったから確認できたけれど、一般の観客が見た場合、シラットという競技を誤解することにならないのかなあ。
映画を通してシラットの魅力を伝える、ということでは、すでに『ザ・レイド』などで、もっとえげつないアクションが紹介されているから大丈夫なのかな(注)。
『ザ・レイド』のイコ・ウワイスは『スターウォーズ/フォースの覚醒』にも出ていたらしいけれど(ぜんぜん気がつかなかった)、人を倒すための技術としてではない形でシラットの魅力を伝える映画はこれからどんどん増えてくるかもしれない。
SNSなどでは棒術を題材にしたインドネシア映画や、ベトナムのアクション映画などがときどき流れてくることがある。ためしに東南アジアの国名と「martial arts」, 「movie」で検索したら、いろんな映画がヒットした。言葉も含めてぜんぜんわからない世界だけど、いま、東南アジアのマーシャルアーツ映画が旬なのかも?
(注)
などと余計な心配をしていたら、先日、地上波でジャッキー・チェン/ジェイデン・スミスの『ベスト・キッド』を初めて観た。これも、防具をつけないでかなり危険な格闘技としてカンフーが描かれていた。映画として描く以上は仕方ないのかな。元の『ベスト・キッド』の描き方はどうだったか、覚えていない。
〇FBで流れてきた、トニー・ジャーとイコ・ウワイスのツーショット
Tony Jaa and Iko Uwais - Martial Arts In Cinema | Facebook
ジージャ・ヤーニンがはいったスリーショットも
Jeeja Yanin - Getting ready for the Triple Threat shoot.... | Facebook
〇『ドラゴン・ガール』、改めて調べたら、DVDが発売されていた
〇以前にSNSに流れてきたインドネシアの棒術映画『The Golden Cane Warrior』も『ゴールデン・アームズ 導かれし者』というタイトルでDVD化されていることを発見。
あらためてトレーラーを見ると、「ドラゴンガール」の主人公ヤスミンのお父さん役のReza Rahadian が出ている
〇ベトナム発のアクション映画『The Rebel 』
ベースになっている格闘技は何だろう
〇マレーシアのシラット映画(たぶん)
〇シンガポールからも
〇フィリピンの武術が出てくる映画の特集
〇これはミャンマーのマーシャルアーツ映画らしい
〇バングラデシュのマーシャルアーツ映画?
〇本家?の中国・香港映画はCGが全盛な感じで、本格アクションは『師父』の徐浩峰監督に期待するしかない?
『師父(邦題:ファイナル・マスター)』