中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

“2O16伝統武術年度人物”など

中華伝統武術連盟なる組織が立ち上がったというニュースを見て、関連情報を調べているうちに、「2016伝統武術年度人物」が選出されたという別のニュースを見つけたので、二つあわせてメモ。

 

1.中華伝統武術連盟

 10月2日、河北省固安に108門派の300人あまりが集まって設立大会が開かれたらしい。

発起人であり代表になるのは劉玉強。この人は「科星太極拳」(詳細未確認)の創始者らしい。おそらく、この「科星太極」も、108門派のひとつに数えられているのだろう。「108」という数自体が象徴的だけれど、その内訳は、80年代の調査で確認された128「流派」とは大きく違っていると思う。

なお、劉玉強氏のプロフィールについては全球功夫網の記事に詳しい。

さらに調べていると、同じく劉玉強氏が代表を務めて、張山、劉敬儒、馬権友など同じような人たちが顧問や名誉主席に名を連ね、組織構成も似たりよったりの「中華民間武術連盟」(2015年設立)というウェブサイトに辿り着いた。二文字違いだけど、いったい何が違うのかなあ。「民間」武術連盟のほうは、香港で法人として登録され、総本部は香港にありながら、秘書処は河北にあるという、いささかねじれた構造のよう(注1)。新団体設立は、そういった「ねじれ」の解消を企図したものだったのか。そのあたりは不明。(そういえば、先日、国際武術連合会(IWUF)から対立組織と認定された国際功夫連合会(IKKF)も香港の団体として設立されつつ本部は北京にある。)

 

なお、全球功夫網の記事によると、成立大会で行なわれた演武をもとに、演武者の年齢で「武術名家」(60歳以上)、「武術名師」(40-50歳)、「武術健将」(30-40歳)を選出したらしい。50代の人だけ何もないのはなんだか不思議。 

 

www.duxuan.cn

 

www.qqgfw.com

 

 

2.「2016伝統武術年度人物」ネット選出

以下の記事の紹介によると、「武當雑誌」や「博武国際武術網」でのネット投票を参照しつつ、選考委員会の意見を総合して選出したものだという。

 

www.duxuan.cn

 

選出された顔ぶれは以下のとおり。

「武術風雲人物」

(順不同 以下同じ)

 張山 馮秀芳 田蘇輝 柳健 韓建中 陳順安 李明治

 

「十大名師」

傅声遠 趙幼斌 張世昌 張子英  崔仲三

馬広録 張全亮 王武泉 李正 丁水徳

 

「十大領軍人物」

 傅声遠 陳大徳 何俊龍 謝守忠

李随成 周清泉 蔡春明 皮伝瓊

倪元海 劉綏濱

 

それなりに名前の知られている人たちも含まれているけれど、最終的な得票数が、「博武国際武術網」の特設ページに載っている数だとすると(最大で、馮秀芳の22票(!)で、のきなみ一桁の数字。)、この選考そのものが失敗だったと思える(数字は2016年10月8日時点 (注2))。

特設ページのヘッダーでは、第5回武當国際演武大会において選考結果を発表するとしているけれど、ネット上で早々と結果を公表してしまったことも、この活動が不発に終わったことを示しているのかもしれない。なお、選考期間、選考委員の顔ぶれはよくわからない。

 

 ◎馮秀芳

www.youtube.com

 

◎韓建中

www.youtube.com

 

◎張全亮

www.youtube.com

 

(注1)

 中華伝統武術連盟のウェブサイトから

中华传统武术联盟(以下简称中华武联)是中华人民共和国香港特别行政区合法注册。 于2015年组建成立。旨在挖掘、整理、传承和发扬中华传统武术文化。并由全国众多传统武术家共同打造的专业性武术组织。接受国家体育总局、民政部、中华全国体育总会、中国奥委会的业务指导和监督管理。
中华武联总部设立在香港新界。秘书处设立于中国河北。

http://www.ctwslm.com/hncc.php?class=1

 

(注2)

10月11日、改めて武當雑誌のウェブサイトを見ると、選考結果についてのページができている。投票数も例えば馮秀芳は46582票になっていた。ただし、博武国際武術網のページの方は相変わらず。ってことは、『博武』のほうの担当者がいい加減な仕事をしているということか。