中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

『スペシャルID 特殊身分』

少し前のある晩、ケーブルテレビの番組表を見ていたら、ドニー・イェン主演の掲題の作品がまもなく放送されるタイミングだったので、特に期待もせず鑑賞してみた。

 

◎日本公開時の予告編 

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インファナル・アフェア』ばりに、ドニー・イェンが香港警察の潜入捜査官を演じるという設定で、前半の展開は少し緩かったり無理がある気もしたけれど、カーチェイスから最後の一対一の戦いまでの後半の見せ場は、とても見ごたえがあって面白いと思った。
映画をみたあとこの作品について少し調べてみたら、以前、『武術網』などのポータルサイト(最近は更新の頻度が落ちているようであまりチェックしていない)で、ドニー・イェンとチウ・マンチェクが、ある映画の企画をめぐって揉めたことが紹介されていたけれど、実はそれが『終極解碼』という、この作品の元の企画で、その後紆余曲折を経て最終的にこの作品になったことがわかった。
その事件の経緯については、谷垣健治『アクション映画バカ一代』や以下のブログに詳しい。

 

◎この映画の感想で参考になったブログ(ネタバレあり)(「カミヤマ」さんのブログ)

ameblo.jp

◎映画『終極解碼』の企画をめぐるトラブルについてはこのブログが詳しい(飯星景子 公式ブログ)

日本で誰も書かないから書いてみた、大陸監督檀冰の事。 | ケイコママのバクダン酒場

 

イップマンの好演で大陸の共産党指導者からも高い評価を得たドニー・イェンの評価が「大陸と香港の代理戦争」(『アクション映画バカ一代』P.183)ともいわれるこの事件を経てどうなったのかはよくわからないけれど、この騒動の真っ最中の2013年の「春晩」(日本の紅白歌合戦に相当する、旧正月前の超人気番組)でチウ・マンチェクがフィーチャーされているのはなかなか暗示的かもしれない。
毎年チェックしているわけではないけれど、だいたい決まって武術関係のパフォーマンスもあり、ドニーも2016年の同番組で木人を相手に技を披露している。

 

◎2013年の春晩より

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◎2016年の春晩より

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ちなみに、この映画でドニーは8年間潜入捜査官をしているという設定だったけれど、そもそも何歳で香港警察に入り、いま何歳という設定なのかを考えたら、やや頭が混乱した。実年齢をあてはめると、警察に入る前はどんな仕事をしていたんだろうと考えざるを得ないけれど、さりとてインファナル・アフェアのように警察学校を卒業してすぐに潜入捜査官になったにしては年齢が上すぎる。ヒロインとの関係もちょっと歳が離れすぎてしまう。お母さんも70代と考えるには少し若すぎる気がする。
もっとも、ヒロインと歳が離れすぎてしまうのは一時期のジャッキー・チェンの作品でもそうだったような気がするので気にしないほうがいいのかもしれない。

役柄の年齢という点でいうと、ジャッキー・チェンは、ヒーロー役から、師匠やお父さん役への転身を意識的にはかっている気がするけれど、ドニー・イェンにはそもそも脇役は似合わない気がする。(スターウォーズの新作ではどんな役になるんだ?)
まあ、いちいちそういうことを気にしないで楽しむべき映画なんだと思う。

ちなみに、つい最近、ジャッキー・チェンは、最初の英語名は「スティーブだった」とカミングアウト。スティーブからジャックを経て、ジャッキーになったらしい。

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