美式角力、ワン・ビンなど
少し前に、アントニオ猪木のIGF所属の中国選手・ワンビンが米プロレスWWEと契約したというニュースが流れてきた。
◎IGFオフィシャルサイトから、ワンビンのプロフィール
2008年から2010年まで中国に駐在していたときは、(どうやって観てるのかわからなかったけど)警備会社のお兄ちゃんたちはWWEの話ばっかりしていたし、それなりに人気があるんだろう。
全球功夫網にも、聚力体育という、スマホの専用アプリで海外のスポーツを配信している会社なのかな?がWWEと3年の独占契約を結んだというニュースが出ていた。ワンビンとの契約は、WWEの将来の中国への本格進出のための中国人スター育成なんだろう。
ところで、調べたいものがあって唐豪の「行健斎随筆」(山西科学技術出版社版)をみていたら、「美式角力(アメリカ式相撲)」というタイトルの記事があって、唐豪が陳緒良に誘われて、王子平、朱文偉と、黄伯長のプロレスを見に行ったことが書いてあった。黄伯長の対戦相手はフィリピン人のアギナルド(阿魁那度)、その日の夜は時間無制限の三本勝負で、一本目は45分の熱戦になり、唐豪としては十分に堪能したらしい(注)。
唐豪は、プロレスは投げ技、関節技、打撃技をともに用いていて、方法は異なるがその原理はわが国の技術と同じだ、と印象を記している。
1930年代の上海で、唐豪と王子平がならんでプロレスをみたいたんだと思うと、とても不思議な気がする。いずれ、現代の上海の武術家がワンビンの試合を見る日も遠くないんだろう。
◎黄伯長についてふれた過去メモ
◎王子平
(注)
原文は、以下のようにかかれている。時間無制限で3試合が行われ、第1試合は45分の熱戦に及んだようにも読めるけれど、黄伯長とアギナルド以外の名前がでていないので、たぶん時間無制限の三本勝負だったんだろう。1カードだけだったのかな?
「是晩競賽三合、不限時間、首合歴三刻之久、始分勝負、故得暢覩其技」
朱文偉は以下の記事のなかに名前がでてくるけれど、佟忠義の『中国摔角法』の副編集者(「助編」)ということで、摔角の専門家だったようだ。
唐豪に声をかけた陳緒良の名前は、顧留馨の以下の文章の中にも名前が出てくる。
◎佟忠義の写真多数