80年代の大陸発功夫女明星
孫建明主演『峡江疑影(邦題:三峡必殺拳)』を久しぶりに見て、孫建明演じる林傑に命を救われて好意を抱く小翠役を演じていた王秀萍が気になったので調べてみたら、この人も北京武術チームの出身だった。
王秀萍は、これまた北京武術チーム出身で、『三峡必殺拳』にも出ていた王建軍が主演と武術指導を務めた『五台山奇情』にも出演していたけれど、こちらはそれほど目立った感じではなかった。
他方、事情通らしい「飛鴻黄」という人のブログで、「王秀萍といえば『塞外奪宝』だろ」と熱く紹介されていたので、こちらも見てみた。
この映画、飛鴻黄氏によると競技武術のプロを役者として起用する例としては、ジェット・リー(李連傑)の『少林寺』より古く、役者の選考も慎重に行なわれたようだ。
主演は、ジョン・ウーの『レッドクリフ』で曹操役を演じるなど、いまや大スターの張豊毅。アクションは「替身」も使っていると思うけれど、結構頑張っている。王秀萍は、張豊毅が率いる義賊の一員で、おてんば娘的な役割で、確かにほかの出演映画の、どこか暗い印象はなく、溌剌とした感じがよく出ている。ということで、飛鴻黄氏の「熱い支持」にも納得(笑)。ただ、この映画、理由はわからないけれど、中国国内では長らく公開されなかったようで(海外との合作映画ではよくある話)、あまりよく知られていないらしいのは残念。
◎『塞外奪宝』
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その他、前後する時期に、武術関係者がヒロインを務めた映画としてはいくつか参考にしたサイト(注)によると、
『新方世玉』の陳永霞(武漢体育学院)
『南拳王』の宗巧珍(南京)
『武林志』の戈春艶(北京武術隊)
『峡江疑影(邦題:三峡必殺拳)』の張希玲(雲南武術隊)
などがいるらしい。
そのなかで、陳永霞、宗巧珍、張希玲の三人が「三大武花」と呼ばれたとかいう話も。
陳永霞の 『新方世玉』の動画は見つけられなかったので、一番の代表作ではないかもしれないけど『神丐』を貼り付け。楊露禅が陳長興に弟子入りする過程は、かなり史実とは違うみたいだけれど、楊露禅が陳家溝で武術を学ぶものがたりで、「武打設計」に陳小旺の名前も見える。主演の王群は、上の『塞外奪宝』も含め、出演作多数。 什刹海から映画界に進んだ最初の人になるのかな。この人がいたから、北京からさまざまな人が映画界に進んでいるのかもしれない。
なお、それぞれ、代表作を挙げただけで、ほかにも出演作はそれぞれ多数。たとえば『無敵鴛鴦腿』(これも主演は王群)では張希玲と宗巧珍の競演も。
『自古英雄出少年(邦題:少年英雄)』の張小燕なんかは、ヒロインというにはシニアすぎたのかな?
(注)以下は比較的情報がまとまっていて、参考にしたサイト