中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

『駱駝客』

ネット上でたまたま見つけた映画。公開は2012年らしい。
新疆で駱駝を使って貨物の輸送を請け負う「駱駝客」たちの姿を描いたもの。駱駝客たちの娯楽は摔角と酒で、使用する武器は弓、ということで、摔角や弓に興じるシーンがときどき出てくる。摔角のシーンはそれほどなかったけれど、弓術については、歩射、跪射、騎射、蹶張など、さまざまな場面がでてきた。時代背景は、東のほうで日本と戦争をしているころらしいので、1930年代から40年代くらいのようで、すでに実用的な技術としては弓は時代遅れの時代にはなりつつあり、クライマックスの戦いも、銃で武装した警備隊との戦いになっている。隊長の娘の結婚をめぐるエピソードとか、ちょっと無理がある気もしたけれど、駱駝隊の隊長役の劉小寧がいい味を出していて、派手さはないけれどなかなか味わい深い映画だった。
著作権上、どうなのかわからないので、画像のはめ込みは控えるけれど、全編はここで見ることができた。

写真は、映画と関係ないけれど、中国駐在中に地元の図書館で見つけた『全国運動会1933年専刊』に載っていた弓術の写真。
そういえば、少し前にメモした、梅花拳の寇運興について紹介した記事では、寇運興は清末の武挙の武探花・馬仁甫を家庭教師に招いて娘と息子に弓術を練習指導させて、ふたりは1935年の第六届全国運動会に射箭隊の選手として出場したことが紹介されていた。