中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

『ロスト・イン・タイ』、『蔡李佛拳』など

3連休3日目、中国出張で買ったコメディ映画『ロスト・イン・タイ』(2012年の大ヒット作で、2013東京/沖縄・中国映画週間でも上映)を鑑賞。

主演の3人のうちの、王宝強、どこかで見たことあるなあと思ったら、嵩山少林寺の在家弟子(俗家弟子)で、映画『蔡李佛拳』では主役をはっていた青年だった。どうりでコメディ映画に不釣り合いなくらい、踵落としの足の挙げ方がハンパなかったわけだ。

ちなみに、ウィキペディアによると、蔡李佛拳は「タイに渡りムエタイ戦士を破った唯一の武術」らしいけれど、たぶんこの映画で王宝強がムエタイと戦うのと、『蔡李佛拳』の主演であることとは関係ないだろう。基本コメディだし。それはともかく、人懐こそうな笑顔が印象的な王宝強はこういう天然キャラがよく似合う。

蔡李佛の映画といえば、サモ・ハン・キンポーの息子が主演でケイン・コスギ(空手10段(!)という設定)も共演している香港の『蔡李佛』(邦題:燃えよ、マッハ拳!)』というのもあった。

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この『蔡李佛拳』と『蔡李佛』、制作時期がほぼ同じ頃だと思うけれど、一方はアメリカに留学した次期「掌門人」、他方はイギリス留学帰りの道場主の息子、という設定で、恋人の元カレと対立関係になるところなど、 設定が微妙にかぶっているのがおかしい。この当時、蔡李佛を題材にした映画はほかにも『宗師』というのがあるらしい。前後して蔡李佛を題材にした映画が次々に作られたのは、(同じくウィキペディア情報によると)歴史的に大変仲が悪いとされる詠春拳ドニー・イェンの『葉問』で一躍人気になったことへの対抗意識もあるんだろうか。

『宗師』予告編

アレクサンダー・フー・シェンの『蔡李佛小子』はいつか観てみたい作品のひとつ。