清代武術
前回、昭和10年の溥儀来日時の団員リストをメモしたけれど、気になったので、昭和15年の来日時の団員表についても確認してみたら、内廷随侍の肩書きで「霍福泰」という名前がでていた。 〇出典:紀元二六〇〇年慶祝満洲国皇帝陛下御来訪に関する件 霍福泰と…
林伯原先生の『中国武術史』の中に、程宗猷(冲斗)の『単刀法選』と呉殳の『手臂録』巻之三「単刀図説」(以下、「単刀図説」)の各勢を比較した表がある。その中で、例えば、『単刀法選』の「入洞刀勢」と「単刀図説」の「入洞勢」は「勢名は類似するが外…
近代の武術家について調べていたら、南皮出身の周長春という武術家にたどり着いた。 もともと唐拳を学んでいて、その後劈掛拳、八極拳、戳脚、功力拳などを学んだという。とくに劈掛拳を得意とし、その劈掛拳は李雲表から学んだとのこと。武器は陸合大槍が得…
7月14日と15日、河北省邢台市の臨西県で潭腿と伝統武術の競技会が開かれたというニュースが流れてきた。正式な名称は「「昆侖大師杯」全国潭腿伝統武術精英賽」というらしく(注1)、開催は去年に引き続き今年で2回目になるらしい。 ここでいう「潭腿伝統武…
中華武術網に滄州の広告会社がつくった滄州武術のプロモーション映像があり、そこに八極拳の呉鐘は河間塩運司の呉氏の子孫だと紹介されていた。 www.wushu520.com これは、呉氏の祖先の祚永公が明の永楽初に河間府滄州塩運分司運判に任じ、安徽の徽州府歙県…
清代から盛んになる四川省における塩田開発のことを以前にメモしたけれど、杜心五の伝記(賀懋華『大侠杜心五伝奇』)を読んでいたら、彼が最初に保鏢を務めるのは、九溪の富商・郝剣鳴が四川省に私塩の買い付けにゆく際に依頼を受けてのことだと書かれてい…
以前にもメモしたけれど、陳舜臣の小説『阿片戦争』にはイギリスとの戦争に備えて組織された自警団やそれを指導する武術家が登場するけれど、自警団が組織されるのはイギリスとの対抗というよりも、急激な人口増加と流動人口の増加による治安の悪化に対処す…
四川省自貢市は塩の都といわれ、岩塩が有名だけれど、ここの塩田は陝西省の商人たちが開発をしていたらしい。 四川の塩田の関係者10人中7~8人が秦人であったともいい、現在自貢市にのこっている塩業歴史博物館も、もともと陝西商人の同郷会館であった建物ら…
3月のはじめに広東省江門市の政治協商会議の一行が市内の蔡李仏拳博物館を視察したという記事を見かけて、そんな博物館があったのかと思って調べてみた。 市政协专题视察蔡李佛拳博物馆 传承弘扬侨乡武术文化精髓-政务要闻-江门市人民政府门 2001年の秋に蔡…
最近、面白そうだと思って読んでみた本で、このブログの観点からはど真ん中ストライクではないものの、それぞれに少しずつ興味深い点があったものを、備忘録としてまとめてメモ。 1村上兵衛『守城の人―明治人柴五郎大将の生涯』義和団事件のとき北京に篭城…
程宗猷の『秘本長槍法図説』(馬力編『中国古典武学秘籍録 上巻』所収)は、「圏里」の「敗槍」を救うのは容易だが、「圏外」の「敗槍」を救うのは困難であるといい、前者には「死掤対」「翻身掤退」のような「死中反活」の方法があるのに対し、後者すなわち…
昨年暮れにインターネットで注文。 この本のウリは個人的には二つあって、一つは清朝の公文書(檔案資料)の部分で、白蓮教や八卦教の反乱の関係者の供述書や、これらの事件に関する地方官僚から中央への報告書のなかに見られる武術の内容が約20ページにわた…
人民体育出版社の余功保編著『中国太極拳辞典』の、「三尖相対」の項目をたまたま見ていたら、 太极拳练习基本要领。指在练拳中鼻尖,膝尖,足尖上下在一条直线上 と出ていた。 出典が記されていないので、この説明がどこからきているのかわからないけれど、…
雲南省の省レベルの無形文化遺産(非物質文化遺産)である沙氏武術の市民向け無料講座が開かれたという記事を見て、雲南省の省レベルの無形文化遺産について調べてみたら、2013年に公表された第3次リストの「伝統体育、遊戯と雑技」のなかに以下の5つの項目…
王宗岳の打手歌に「引進落空合即出」と出てくることもあり、「引進落空」という言葉は太極拳をやる人の間ではかなり知られているように思われる。「引進落空」は、人民体育出版社の『中国太極拳辞典』でも、太極拳に特色のある技法として紹介されている。(…
合肥晩報の記事を鳳凰網安徽が転載した「明清時期的徽州為何盛行少林武術」という記事が面白かったのでメモ。 最近、『清代鏢局与山西武術』(李金龍、劉映海著)などをもとに、山西商人(晋商)と武術の関係について少し調べてみたのだけれど、高校の世界史…
以前から気になっていた掲題の本の、図書館除籍本がアマゾンで安く売られていたので購入してみた。 黒旗軍―19世紀中国の農民戦争 (研文選書) 作者: 陳白塵,佐藤公彦 出版社/メーカー: 研文出版 発売日: 1987/10 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含…
参考資料として買っておいた陳振家『原伝戴氏心意六合拳』の冒頭をぱらぱらと見ていたら、戴魁の頃、益晋染織有限公司が1909年にシーメンスの発電機を導入した際、オーナーの喬殿森がドイツ人の勤勉な働きぶりに関心して工場の管理をまかせることにしたとこ…
先日、kung-fu tea というサイトで、tiger soldierについての記事を読んだ(といっても、ポップアップの翻訳機能を使いながら斜め読みしただけ)。アヘン戦争の頃、外交団に随行して中国各地を旅行したイギリス人画家のイラストや、写真のなかにでてくる、虎…
武術の「常識」といわれていることも、いろいろ遡って考えると、実はよくわからないことも多い。 中国武術は内家拳と外家拳に大別されるという考え方も、その一つのような気がする。 以下の動画は、そもそもどういう目的で作られたものか、よくわからないけ…
全球功夫網に掲載された、中国十大鏢局という記事をもとにメモ。 十大鏢局といいながら、詳しく取り上げているのは、興隆鏢局(「神拳」こと張黒五)、会友鏢局(三皇炮捶)、成興鏢局(李冠銘、李鳳崗、李慶臨)、広盛鏢局(こちらも「神拳」こと戴二閭)の…