中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 。頭の体操なので、たまたま立ち寄られた方は決して鵜呑みにしないこと(これ、肝要)※2015年2月、はてなダイアリーより移行

段位制度

中国武术协会关于加强行业自律弘扬武术文化的倡议书

いちいち追いかけていないけれど、2017年の魏雷とMMAの徐暁冬の対戦後、中国武術の「大師」(自称含む)と格闘家の対戦が、その後も繰り返されている。 中国武術協会は6月28日付で「中国武术协会关于加强行业自律弘扬武术文化的倡议书」なる文章を発表。 www.…

武術産業発展計画(2019-2025年)

国家体育運動総局以下、14の政府部門の連名で、掲題の計画が発表された。 全文は以下のリンクのとおり。 www.sport.gov.cn 2025年までに、10の賽事(原文は「競賽精品項目」)をつくり、少なくとも5つの専門ブランド(服装や武器)を立ち上げ、武術スターと…

幼児向け武術操いろいろ

北京で、市内19の幼稚園による第2回「幼児武術操匯演」が開催されたというニュースが流れてきた。 www.xinhuanet.com 記事によると主催は、北京市学前児童保教工作者協会と、中国関心下一代工作委員会の健康体育中心小児武学伝承研究院北京分院。関心下一…

2018年5月の高段位認定者

5月9日に、2018年の高段位認定が行われていた模様。 中国武术协会关于批准周之华等26人晋升武术高段位的函-中国武术协会 9段と8段に認定されたのは以下の人たち。 関連情報と動画をとりあえずメモ。 結構若い人もいるように見えるのは、地域ごとのバランスな…

『蔡李佛拳少児教材』など 武術進校園4

仏山日報の記事によると、同市で、6歳以下の児童への普及を目的とした32動作からなる蔡李佛拳の少児教材が編集されたとのこと。 同記事によると、仏山市蟷螂拳総会の陳燦明会長も、青少年への普及を目的に、本来の套路を簡略化したり再編集したいと述べて…

段位制いろいろ2 少林武術段位

SNSで、少し前に、香港で七星蟷螂拳の李錦榮老師が登封少林武術協会から少林武術九段に認定されたという記事が流れてきた。 www.facebook.com 公式ウェブサイトの説明によると、「中国少林武術協会」とは、河南省登封市少林武術協会、嵩山少林同門の支持、登…

中華幼児武術級位制など

1月初旬に天津で、「関心下一代・全国幼児武術教育工作発展検討会」なる会議が開かれていたらしい。 sports.xinhuanet.com 会議を主催した「中国関心下一代工作委員会」には健康体育発展中心という部門があって、さらにその下に「少児武学伝承研究院」なる組…

高段位認定者(2017.4、2016.7)のアップデート

2017年4月25日、中国武術協会が高段位者の認定に関する通知を発表した。 それで調べてみたら、前回メモした2015年12月の認定以来、2016年6月にも何瑞虹ら26人の段位認定が行われていたことがわかったので、今後の参考のために、それぞれ簡単にメモ。 1.2016…

張山の語る中華人民共和国の武術

北京体育学院の武術系を卒業し1965年に国家体育運動委員会の武術処に配属された張山の『武林春秋』は2012年に人民体育出版社から出版されている。 zigzagmax.hatenablog.com 600ページにも及ぶ大著のようで、とても興味があるのだけれど、いまだ入手する機会…

段位制いろいろ

以下のニュースのなかで、馬志堅は「世界功夫武術段位制総会」の主席だとかいてあったので、そういう組織・段位認定のしくみがあるのかと思って調べてみた。 hk.apple.nextmedia.com 公式ウェブサイトによると、世界功夫武術段位制総会は2004年にバンクーバ…

2016年第二届全国武術運動大会暨武術科学大会

国家体育総局のウェブサイトに、今年の9月の第2回全国武術運動会にあわせて開催される第2回全国武術科学大会に向けて、募集論文のテーマが掲載されたのでメモ。 全国武術運動会は、国内最高規格の賽事、と位置づけられていることもあり、武術運動管理中心…

地方武術協会の動き

いくつかの地方の武術協会、武術運動管理中心などの動きについて気になった記事をメモ。 1.湖南 湖南省については、これまでも段位制の普及例などが報道されていて、この地域をモデル地域にしようというような政策的な意図が感じられる。3月に湖南省を訪れた…

官方武術関係情報のアップデート 2016.3

いくつか気になった情報があった。どれも比較的小ネタなので、まとめてメモ。 1.第2届全国武術運動大会 2012年あたりの武術運動管理中心の年度計画の中に構想が示され、難産のすえに2014年にようやく第1回が開催された印象のある全国武術運動大会。2016年は…

河南大学洪浩教授のイタリア訪問

河南大学公共体育部主任の洪浩教授が段位性普及のために、イタリアに指導にゆきました、という開封網の記事。 よく見かける、海外でも段位制が注目されていることをアピールする宣伝記事として読み飛ばしてもよかったのだけれど、講師の洪浩は昨年、武術研究…

官方武術関係情報のアップデート

しばらく官方武術界(注)のニュースをチェックしていなかったので久しぶりに武術運動管理中心・中国武術協会・武術研究院の公式ウェブサイトを覗いてみた。いくつか、気になったニュースをメモ。リンクが多くなったので、記事全文はコピペせず、エバーノー…

周偉良「評武術段位制」ほか1篇

最近、武術網に杭州師範大学体育学院の周偉良教授の文章が2編掲載された。一編は、段位制に物申す、といった内容の「評武術段位制」、もう一編は、高小軍(ここでは武術研究院院長という肩書きだけれど、いうまでもなく国家体育運動総局武術運動管理中心の主…

洪拳泰斗・趙志凌

黄飛鴻-林世栄-趙教と連なる洪家拳の使い手として「国際洪拳趙志凌国術会」などの組織も運営しているという(未詳。ウェブサイトはないのかな?)、俳優の趙志凌(日本ではチャウシンチーの『カンフーハッスル』が有名か?)の、競技武術のオリンピック競技…

中国武術における「営業の個人化」と「標準化」

かなり畑違いではあるけれど、ハフィントンポストの「マーケティングの目的は、販売を不要にすること」という記事を読んで、中国武術界とよく似たところがあると思ったので、頭の体操のつもりでメモ。「営業の個人化」が進行し、流派・門派があまりにも細分…

『中華武術急先鋒』出版

湖南省で、ルポ『中華武術急先鋒』の出版記念会が開かれたという記事。作者は湖南省の新化(「武術之郷」の一つでもある)で青少年に対する武術の普及に努めている青年武術家・作家の游罡華。 中身を読む前に判断するのは失礼かもしれないけれど、文字通りの…

武術の郷における段位制普及についての指導意見

7月11日、国家体育運動総局の武術運動管理中心が、全国の「武術の郷」に対して、段位制度の普及に関する「指導意見」を発表した。どの程度の強制力をもつものかはわからないけれど、今後10年間、毎年少なくとも100名の指導員を養成し、5回以上の研修を開催し…

2014全国武術段位制推広工作会議

掲題の会議が4月24日に開催された。 段位制普及のための十年計画については、年頭にも高小軍が言及していたけれど、いよいよ起動するということか。 それにしても1998年から2011年にわたる試行期間を経て正式にスタートした段位制、さらに3年の一部学校での…

第七次全国武術工作会議

第七次全国武術工作会議が開催されたらしい。関連する3つの記事をコピペ。 今回の会議は中国武術協会の第10回会議をかねていて、ここでは幹部の代替わりがあったようだ(二つ目に引用した全球功夫網の記事に名前が出ている)。 全国武術工作会議における…

段位制普及と地方拳種の保護

久しぶりに武術運動管理中心・中国武術協会のHPを覗いてみて、二つの記事が目を引いた。一つ目は、2013年末に開催された全国段位制工作会議に関する報道で、各地の官方武術組織のHPにも転載されている。段位制の2014年以降の普及に関しては、学校におけ…

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか?』

話題の本をようやく読了。 かなりのボリュームだけど、読み始めたら一気に読めてしまった。寝技中心の高専柔道のことは、以前に読んだ松原隆一郎『武道は教育でありうるか』にも書いてあったけれど、この本を読んでさらに理解が深まった気がする。そして、高…

邯鄲学院国際太極文化伝播基地

表題に関連する二つの記事をメモ。最初の記事は邯鄲で「国際太極文化伝播基地」が設立したという「国際在線」の記事。 これは、中国国際ラジオと河北省の邯鄲学院の合同プロジェクトのよう。 中国国際ラジオでは、ラジオ孔子学院で中国の伝統文化を紹介、そ…

武術のオリンピック競技種目化と段位制、孔子学院

第十二回全国運動会の記者発表における高小軍の談話に関する記事。段位制度に基づき「標準化」された武術を海外に普及してゆくことが、オリンピックの競技種目化と結びつけて語られているところが興味深い。そして、その鍵を握る普及経路として海外400箇…

中国の武術人口

8月6日に北京で開かれた段位制度に関する記者発表会によると、中国全土における武術人口は約7000万人になるらしい。そのうち段位制に基づいて武術を練習している人(試験的に導入されている学校の学生の数を合計したもの?)は100万人で、うち段位保有者が25…

段位制の受験場所

しばらく段位制の動きをフォローしていなかったけれど、2012年の秋に、段位制に関して、受験場所(考試点)として323か所が発表された。 リンク先にあるリストは、「単位」と「名称」の対応関係がややおかしい気がするけれど、いちおう323か所が網羅されてい…

2012年の官方武術界総括

2012年を振り返る、ふたつの記事。一つは高小軍のもの。武術行政サイドとしては、段位制の導入を柱とする「標準化」と武術界の一致団結の二つを引き続き重視していることがわかる。閻芳問題があれほどクローズアップされた理由もそこから理解できる気がする…

国家武術研究院専家会議後の高小軍のコメント

国家武術研究院(武術研究院の頭にいつから「国家」とつくようになったんだ?)の専門家委員会後の高小軍のインタビューがいくつかのサイトに出ている。2012年の武術界の重要な動きは?という記者の質問に対しては、散打のナショナルチーム設立を挙げている…