中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

人物

段位制いろいろ2 少林武術段位

SNSで、少し前に、香港で七星蟷螂拳の李錦榮老師が登封少林武術協会から少林武術九段に認定されたという記事が流れてきた。 www.facebook.com 公式ウェブサイトの説明によると、「中国少林武術協会」とは、河南省登封市少林武術協会、嵩山少林同門の支持、登…

武術家とひげ

古代中国では、親からもらったものは髪の毛の一本も粗末にしてはいけないという儒教思想の影響で、儒教官僚たちはひげを生やすことで道徳観を表していたといわれる。 また、宦官という文化があるなかで、ヒゲも生えないような人間はまともな人間ではないと考…

蔡李仏拳博物館など

3月のはじめに広東省江門市の政治協商会議の一行が市内の蔡李仏拳博物館を視察したという記事を見かけて、そんな博物館があったのかと思って調べてみた。 市政协专题视察蔡李佛拳博物馆 传承弘扬侨乡武术文化精髓-政务要闻-江门市人民政府门 2001年の秋に蔡…

三田村泰助『宦官 側近政治の構造』

新しい本ではないけれど、地元の図書館の蔵書にあったのを読んでみた。 宦官にまつわるさまざまな内容のほかに、恐妻家、男色、強精剤といった内容が含まれていて面白かった。 以下、このブログの観点から興味深かったについてメモ。 1.恐妻家戚継光 映画『…

『イップ・マン 継承』『イップ・マン 最終章』など

公開時、見逃していた『イップ・マン 継承』を、先日アマゾンプライムの週末特典100円で先日ようやく観賞。 アクション的には、マイク・タイソン(そこそこ台詞もあって、役者っぷりも見事!)、売り出し中のマックス・チャンとの対決など見ごたえがあったけ…

張榕、王永江、于冲漢、東北大学体育専修科など

孫文たちに協力して西安で革命の準備をしたのが井勿幕、井岳秀だとして、東北で革命を画策した人に張榕がいる。 張榕について、中国版ウィキペディアの紹介によってメモすると、日露戦争の頃、関東独立自衛軍なる団体を組織してロシアに対抗した人で、戦後、…

葉雲表、梁漱溟、杜心五など 郷村建設と武術

詳細はまだ確認できていないものの、以前にメモしたように中華武士会の初代会長・葉雲表は、1930年代には山東で梁漱溟の郷村建設理論に基づいて鄒平県に作られた実験区の活動にかかわっていたらしい。 〇関連のメモ zigzagmax.hatenablog.com この点について…

井勿幕、井岳秀など:「鷂子高三」の関係者たち

以前にメモしたけれど、『少林拳術秘訣』に出てくる「三原高氏」について、唐豪はその実在を疑問視していたけれど、近年の研究でこの「三原高氏」は「鷂子高三」こと高占魁らしいとされている。その高占魁の弟子に魏金鐘がいて、魏の教え子の中に井岳秀がい…

河北省国術館、天津市国術館、『形意拳術講義』など

河北省国術館の設立と館長について、ふたつの説があることに気づいた。 一つは、李書文と関係の深い許蘭州が1928年に天津で設立し、自ら館長に任じたという説。許蘭洲の故郷でもある南宮の南宮広播電視台のサイトの以下の記事には、日本で著書も出版された張…

「蕩寇風雲 God of War」など

倉田保昭が映画「蕩寇風雲 God of War」の演技で香港電影評論学会の最優秀男優賞を受賞したらしい。 倉田保昭が演じているのは、松浦藩の若頭を中核とする倭寇の軍師のような存在で、サモ・ハン・キンポー演じる兪大猷、チウ・マンチェク演じる戚継光らと対…

中華幼児武術級位制など

1月初旬に天津で、「関心下一代・全国幼児武術教育工作発展検討会」なる会議が開かれていたらしい。 sports.xinhuanet.com 会議を主催した「中国関心下一代工作委員会」には健康体育発展中心という部門があって、さらにその下に「少児武学伝承研究院」なる組…

ベルリンオリンピックの国術代表団4 幻の山東代表? など

山東国術館について紹介した記事を見ていて、以下のような記述があるのに眼がとまった。 …据张香圃(济南太乙门传承人)回忆:(1985年《少林武术》第三期记载)1936年林秉礼、佟顺禄、张香圃、马洪智、赵玉庭五名山东选手被选拔为参加第十一届奥运会的“世运…

中華武士会とその周辺の日本関係者

掲題のテーマに関連して直接的、間接的に関係のある人々の情報が少しずつたまってきたような気がする。まだ頭が整理できていないので、注釈を連発してしまっているけれど、とりあえずのメモとして。 1.呉汝綸、杜之堂 呉汝綸は1889年、李鴻章の推薦により当…

大陸浪人、日本人馬賊、革命派、精武会とボクシング・柔道など 

同じ時代のことだから当たり前といえば当たり前だけれど、いろいろ関心をもっていることがなんとなく繋がってきた。それぞれ掘り下げてゆければ大きなテーマに発展する可能性があるものの、とりあえずのところ連想ゲーム的にメモ。 1. 日本人馬賊-小日向白…

中国国術と西洋拳撃の対抗戦(1943)2 (何金章)

以前のメモで、1943年に蔡龍雲も出場したボクシングと中国武術の対抗戦の際、一部の記事では当時の蔡龍雲の年齢を14歳と書いているけれど、15歳が正しいのではないかという疑問を書き留めておいた。 zigzagmax.hatenablog.com この点に関して、蔡龍雲自身が…

沛声『武林名門尚芝蓉』

掲題の「小説」をネットでたまたま見つけて、読んでみたら面白かったのでメモ。 〇全文のリンクはここ。冒頭に、かつて日本で発表されたかのような記載があるけれど未確認。雑誌『武術』で李文彬が尚氏形意拳を紹介していた頃(VHSテープを買った気がする…

沙国政、顧麗生、貴州の太極拳など

少し前に修剣痴についてメモした際に、沙国政が長沙講武堂で修剣痴の指導を受けとされていることをメモしたけれどその前後、雲南省で武術を教えるまでの沙国政の足取りをざっと調べてみた。 1927年ごろに山東から天津に出て、王之和、馬興義らと交流を深め、…

ベルリンオリンピックの国術代表団3(領隊、監督員、選考委員)

調べものをしていて、以下の記事に、「鼻子李」こと李瑞東の弟子の李子廉の弟子に郝明という人がいて、ベルリンオリンピックの国術代表団の引率(領隊)を務めたと書いてあった。おそらくは、張文広『我的武術生涯』等では郝銘と書かれている人物のことだと…

武術賽事の管理強化、ジャック・マーの『功守道』、「峨眉武術発祥の地」など

11月4日に開かれた雲南省武術協会の全体委員拡大会で、胡宝林が全会一致で主席に選ばれたらしい。 胡宝林といえば、自分が武術を始めた頃の現役選手で、四川の任剛とならぶ通背拳の名手だった。ライバル任剛は四川省武術協会の主任としてさまざまなアイデア…

「東北三省武術会」、「奉天武道振興会」など

1.海朝英 張作霖・張学良について調べていたら、海朝英という、孟村出身の武術家にたどりついた。 弾腿の名人で、なおかつ回教のアホンであったらしい。 弾腿のほかに鐵(黨)、鐵鞭、虎頭雙鉤が得意であったともいわれる。 百度百科の紹介では、1931年の「…

橋本力、闞文聡、『刀背蔵身』など

ちょっと小ネタが集まったので、まとめてメモ。 1. 『ドラゴン怒りの鉄拳』のクライマックスでブルース・リーと戦い、かつ『大魔神』の(わけのわからない日本語だ(笑))橋本力氏が10月11日に逝去された。 『大魔神』三部作は、ブルーレイプレーヤーを買っ…

套路という文化 套路運動の生命力

ネットで調べものをしていて、晩年の蔡龍雲が套路運動について語った動画を見つけた。2014年10月、上海体育学院における講座らしい。ということは、お亡くなりになる約1年前だと思われるけれど、ときどき立ちあがって実演してみせる動作や、ウィットに富んだ…

形似容易神似難

ロシアのカザンで開催されていた世界大会では、日本人選手たちもメダルを獲得したらしいけれど、捜狐の記事では、中国チームの厳平コーチのコメントを引用しながら、外国人選手の演武に欠けているものについて指摘している。 www.sohu.com やや乱暴だけど、…

ベルリンオリンピックの国術代表団2 (+予選参加者)

ベルリンオリンピック時の国術代表団、実際に渡航したのは補欠を含めて9名だけれど、予選には全部で25人が参加したらしい。そのうちわけは以下のとおり。 1936年5月11日,各地被保送的国术选手在上海延平路申园举行初次预选。参与者有赣、豫、浙、京、青、沪…

中華民国第六届全国運動大会(1935年) 女子単人比賽入賞者

かつて中国駐在中に、地元の図書館で見つけた『東方雑誌号外 第六届全運会画刊』の、女子国術入賞者の記事と写真に出ている名前を判読しようとして調べていたら休日が半日つぶれてしまった。それでも、なんとか全員判読できたような気がする。 判読した結果…

ベルリンオリンピックの国術代表団

ベルリンオリンピックの国術代表団については、いちど寇運興についてメモしたけれど、少しずつ情報が集まってきたので、ここらで一度メモしておきたい。 まずはこの動画。3年ほど前に、FB上で発見して、こんな動画が残っていたのかと度肝を抜かれた。長ら…

第13届運動会、健身気功、競技規則など

天津で開催された中華人民共和国第13届運動会は、8月30日に套路競技、9月4日に散打競技が終了した。 公式サイトに出ている套路競技、散打競技の成績はそれぞれ以下のとおり。 〇套路競技 第十三届 男子长拳、刀术、棍术全能1 山东 孙培原 29.1302 江苏 …

四川省武術協会編著『峨眉武術史略』

気になっていた掲題の本が出版されていたことを知り、ネットで取り寄せて読んでみた。 内容は、以下のとおり(日本語に仮訳) 第一章 峨眉武術の起源と萌芽 第二章 峨眉武術の形成と成熟 第三章 峨眉武術の発展と繁栄 第四章 峨眉武術の全面発展と高度昌盛 …

「鉄羅漢」張長発

前回、朱国福について調べていて、『中国武術人名辞典』の朱国福の項に、12歳から馬玉堂について形意拳を学ぶ前に張長発に少林羅漢門拳術を学んだ、と出ていたので、その張長発について調べてみた。 張長発は「鉄羅漢」の異名をもち、程廷華に八卦掌を学び、…

1923年の中西対抗ボクシング競技、朱家四虎など

1.1923年の中西対抗ボクシング競技 先日、1943年の国術とボクシングの対抗戦についてメモしたけれど、中西対抗ボクシングの競技で一番はじめに勝ったのは朱国福だといわれている(注1)。 時期は1923年8月12日。翌13日の「申報」の記事に、「中華体育会会員…