中国武術雑記帳 by zigzagmax

当世中国武術事情、中国武術史、体育史やその周辺に関する極私的備忘録・妄想と頭の体操 ※2015年2月、はてなダイアリーより移行

ベルリンオリンピックの国術代表団

ベルリンオリンピックの国術代表団については、いちど寇運興についてメモしたけれど、少しずつ情報が集まってきたので、ここらで一度メモしておきたい。 まずはこの動画。3年ほど前に、FB上で発見して、こんな動画が残っていたのかと度肝を抜かれた。長ら…

『西遊記2』など

人に誘われてツイ・ハークの『西遊記2』を観てきた。 www.youtube.com ツイ・ハークの映画は2008年から2010年の中国駐在中に『女人不壊』を観て以来。『女人不壊』は武術とは全く関係ない3人の女性が主人公の映画だったけど、当時観ていた金庸原作のドラマ…

第13届運動会、健身気功、競技規則など

天津で開催された中華人民共和国第13届運動会は、8月30日に套路競技、9月4日に散打競技が終了した。 公式サイトに出ている套路競技、散打競技の成績はそれぞれ以下のとおり。 〇套路競技 第十三届 男子长拳、刀术、棍术全能1 山东 孙培原 29.1302 江苏 …

四川省武術協会編著『峨眉武術史略』

気になっていた掲題の本が出版されていたことを知り、ネットで取り寄せて読んでみた。 内容は、以下のとおり(日本語に仮訳) 第一章 峨眉武術の起源と萌芽 第二章 峨眉武術の形成と成熟 第三章 峨眉武術の発展と繁栄 第四章 峨眉武術の全面発展と高度昌盛 …

「鉄羅漢」張長発

前回、朱国福について調べていて、『中国武術人名辞典』の朱国福の項に、12歳から馬玉堂について形意拳を学ぶ前に張長発に少林羅漢門拳術を学んだ、と出ていたので、その張長発について調べてみた。 張長発は「鉄羅漢」の異名をもち、程廷華に八卦掌を学び、…

1923年の中西対抗ボクシング競技、朱家四虎など

1.1923年の中西対抗ボクシング競技 先日、1943年の国術とボクシングの対抗戦についてメモしたけれど、中西対抗ボクシングの競技で一番はじめに勝ったのは朱国福だといわれている(注1)。 時期は1923年8月12日。翌13日の「申報」の記事に、「中華体育会会員…

長沙の修剣痴とその門人(韓鵬堯、王之和)

二つ前のメモの冒頭に貼り付けた写真で、王潤生の隣に修剣痴が写っていたので、 修剣痴と長沙の関係について調べてみると、1920年前後から大連で通背拳の指導を行なっていた修剣痴は、早期の弟子の韓鵬堯(後述)の推挙で湖南省第2回国術考試(1932年10月)…

中国国術と西洋拳撃の対抗戦(1943)

ネットで見つけた高嶋航『「東亜病夫」と近代中国(1896–1949)』(京都大学人文科学研究所編『近現代中国における社会経済制度の再編』所収)は、西洋の比喩表現としての「病夫」が、中国では違った意味で受け止められ、尚武や軍国民思想、身体鍛錬による「…

四川省伝統弓連合会成立

2017年7月15日、四川省武術協会が伝統弓連合会を成立した開催されたというニュースが流れてきた。 sports.sohu.com 伝統弓術といえば、2016年12月出版の、馬廉禎主編『武学』の第2集は伝統弓術の特集だった(未入手)。 逸文武學書館>武學—中國傳統射箭專輯 …

弘文書院、大森体育会、中国体操学校とその関係者たち

1. 王潤生、不肖生、楊昌済、柳午亭、毛沢東など 清末の日本留学生の中に、湖南の「拳王」八拳の王潤生がいる。平江不肖生こと向愷然の「拳術見聞録」や「拳術伝薪録」では王志群と記されている人物で、帰国後は太極拳にも興味をもち、年下の呉鑑泉にも学ん…

国際武術文化伝承者

去る5月、香港に本部をおく国際武術文化研究院が、「国際武術文化伝承人」の認定を行なったというニュースが流れてきた。 2017年の認定は4回目の認定で、今回認定されたのは以下の15人 名前と地域だけでも、邵智勇は紅拳の人だとか、程克锦は陳式太極拳の人…

武術学校リスト 武術学校の現在4

ネット上で調べものをしていて、武術学校について、複数のリストを見つけた。武術学校については、問題点が少なくないという報道などに食いついていくつかメモを残しているものの、なかなか基礎的な情報が得られないと感じていたので、こういう情報は貴重だ…

『東亜競技大会番組表』 国会図書館デジタルコレクション3

国会図書館の『東亜競技大会番組表』、以前に調べたときはデジタル化されていなかったのだけれど、改めて調べてたらデジタル化されており、提携図書館での閲覧が可能になっていたので、さっそく地元の図書館に見に行ってきた。 東亜競技大会番組 (大日本体育…

文化と自然遺産の日

6月10日、中国は「文化(遺産)と自然遺産の日」だったらしく(注)、各地で行なわれたイベントの中には武術に関連するものもあったようで、検索するといくつかの関連記事がヒットしたので、いくつか気になったものをメモ。(順番には特に意味無し。) (注…

佟忠義、佟佩雲など

前にちらっとメモしたけれど、2、30年代の上海の映画界で活躍した査瑞龍は、精武会の出身だというけれど、佟忠義のお弟子さんでもあったらしい、ということで改めて佟忠義について調べてみた。 zigzagmax.hatenablog.com 王子平と並んで「滄州二傑」と評…

于素秋、如来神掌など

先月のメモで、「七小福」のDVD化を強く望む、と書いたところだけれど、その数週間後に、「七小福」たちの師匠・于占元の娘で、七小福のメンバーが姉と慕っていた于素秋が亡くなっていたことがわかってびっくり。享年88才。 www.recordchina.co.jp 以下は…

武術学校は出稼ぎ世帯にとっての託児所? 武術学校の現在3

例の事件から、どうして大陸の武術はいまのような姿になってしまったのかという議論がまだ続いている。「土逗公社」に掲載された「武打靠演技,武校戒网瘾:中国武术的被KO之路」という記事では、競技スポーツ化が武術の套路の意味を変えてしまったこととあ…

岳家拳、満江紅など

少し前に全球功夫網に掲載された、岳家拳についての紹介記事によると、岳飛に由来する「岳家拳」で「全国的に比較的突出」しているのは(1)河南省新郷の路全振、張開明を代表とする新郷岳家拳、(2)湖北省黄梅の雷傑を代表とする黄梅岳家拳(注)、(3)湖…

「約架」事件

GW前後、中国武術関係のニュースでは、「雷公太極」の魏雷とMMAの徐暁冬の勝負についての話題で持ち切りだったけれど、中国武術協会が果し合い(約架)などの「違法行為」に反対するという強い声明を出し、かつ徐暁冬のウェイボーのアカウントの閉鎖など、個…

高段位認定者(2017.4、2016.7)のアップデート

2017年4月25日、中国武術協会が高段位者の認定に関する通知を発表した。 それで調べてみたら、前回メモした2015年12月の認定以来、2016年6月にも何瑞虹ら26人の段位認定が行われていたことがわかったので、今後の参考のために、それぞれ簡単にメモ。 1.2016…

『激闘!アジアン・アクション映画大進撃』

『ドラゴン・ガール』のメモの最後に、アジアのアクション映画が旬なのか?とメモしたら、数日後にこの本が出版されてびっくり。さっそく手にとってみると、充実した中身で(とくに、知野二郎「伝説の映画帝国、邵氏兄弟有限公司 ---その栄光と波乱の興亡史…

大学受験と武術2

中国の大学受験はこれから本格シーズンにはいるのかな。 「武術と民族伝統体育」専攻では、今年は新たに雲南民族大学が募集を行うらしい。 news.xinhuanet.com その名もずばり大学受験生向けの「高3ネット」によると、「武術と民族伝統体育」専攻があるのは4…

「鷂子高三」など

たまたま「鷂子高三」こと高占魁について調べていたら、最近「鷂子高三」という映画がクランクインしたというニュースがヒットした。 www.qqgfw.com また、気づかなかったけれど、2016年の9月には、陝西省銅川市耀州に鹞子高三記念館がオープンしていた。 ww…

『ドラゴン・ガール』など

先日、シラットを題材にしたブルネイ初の長編映画という、掲題の作品の上映会と監督によるトークがあった。 www.youtube.com jfac.jp シラットが得意な幼なじみの気をひくために高校でシラット部を作った女の子・ヤスミンが主人公で、「あんな危険なものはや…

村上兵衛『守城の人―明治人柴五郎大将の生涯』など

最近、面白そうだと思って読んでみた本で、このブログの観点からはど真ん中ストライクではないものの、それぞれに少しずつ興味深い点があったものを、備忘録としてまとめてメモ。 1村上兵衛『守城の人―明治人柴五郎大将の生涯』義和団事件のとき北京に篭城…

少林寺関係の時事ネタ アップデート

少林寺関係のメモが続いたけれど、情報のアップデートの意味で、最近見かけた記事などの中から、時事的小ネタをまとめてメモ。 1.釈永信方丈のスキャンダル関係 とりあえずメモだけ。 news.sohu.com 〇関連の過去メモ zigzagmax.hatenablog.com 2.武僧くん …

「圏外」の敗槍を救う槍法…からの頭の体操

程宗猷の『秘本長槍法図説』(馬力編『中国古典武学秘籍録 上巻』所収)は、「圏里」の「敗槍」を救うのは容易だが、「圏外」の「敗槍」を救うのは困難であるといい、前者には「死掤対」「翻身掤退」のような「死中反活」の方法があるのに対し、後者すなわち…

唐豪『少林拳術秘訣考証』

数年前にメモを書こうと思って読み始め、途中で挫折していた唐豪の『少林拳術秘訣考証』をなんとか読了。 〇『少林拳術秘訣考証』(山西科学技術出版社版) 尊我斎主人の『少林拳術秘訣』とそのベースになっているといわれる『少林宗法』は清末の革命志士が…

孫徳朝、趙明、康意「 峨眉武术研究三十年」

前回、過去100年の少林武術研究を振り返る論文についてメモしたあと、ちょうどよいタイミングで、内江師範学院の学報に載った峨眉派武術についての研究状況を振り返る論文を見つけたのでメモ。 〇以下のリンクのPDFのボタンでPDFファイルのダウンロードが…

程馨,程大力『近百年少林武術研究述論』

国家体育総局体育科学研究所のサイトで見つけた論文。 国家体育总局体育科学研究所-近百年少林武术研究述论 郭希汾の「中国体育史」や徐震、唐豪以来の中国国内における少林武術についての研究を 1.少林武術の起源 2.少林武術の誕生とその存在の歴史・文化的…