橋本力、闞文聡、『刀背蔵身』など
ちょっと小ネタが集まったので、まとめてメモ。
1.
『ドラゴン怒りの鉄拳』のクライマックスでブルース・リーと戦い、かつ『大魔神』の(わけのわからない日本語だ(笑))橋本力氏が10月11日に逝去された。
『大魔神』三部作は、ブルーレイプレーヤーを買ったときに、最初に買ったソフト(安い海外版だけど)。なぜかこのブログで取り上げたこともある。謹んでご冥福をお祈りする。
2.
三皇炮捶の張凱は90歳に。
お若いころはこんな動作もされていたのだなあ。
写真の出典は以下の記事から。
3.
第13届全国運動会の女子の套路チャンピオンの闞文聡が故郷の滄州に、一万元近くの武術器材を寄贈という記事。最近の套路競技はあまり興味がないので、彼女の演武がSNSで流れてきてもスルーしちゃうけれど、 この心意気や、よし。
動画は2016年の競技における剣術。比較のために、2016年の女子剣術競技の1位から3位の選手のリンクを貼り付け。(但し、2016年の競技ものもではないので、あくまでのただの参考)。斬ったり刺したりする動作がここまで少ないと、もう手にしているものが剣である必要性はほとんどないような気もするけれど、これも蔡龍雲がいうところの「技巧」表現を重視した套路の在り方と理解すべきなのかなあ。
4.
クレヨンしんちゃんの次回作はカンフー?
まさか、「トレジャーハンターみさえ」のようなジャキーチェンのパロディじゃないとは思うけど・・・
5.
新作で気になる映画といえば、チウ・マンチェクが戚継光でサモ・ハン・キン・ポーが兪大猷を演じている『盪寇風雲』。中国ではもう公開済み?
サモハンとチウ・マンチェクの対戦(訓練?)シーン
6.
徐浩峰監督の新作『刀背蔵身』は2018年公開のよう。これも気になる。
今度の内容は、日中戦争時の大刀隊についての内容らしい。
大刀隊の活躍については、民族精神を鼓舞するための宣伝的要素が強く、実際にはそれほど大きな役割を果たしていなかったのではないか、という指摘もあり、今後の研究が期待される。
7.
国家体育運動総局が発表していた格闘技の催事の監督強化に関する意見書。日付は8月24日になっているけれど、なぜか10月になってからいくつかのメディアで報道された。
たとえば、新浪の報道は10月10日で、記事には、徐暁冬、雷公と並んで、閻芳の名前が見える。文書の日付と報道時期がずれている理由はよくわからない。
8.
新刊は高くて手が出なかった『ボクシングの文化史』を中古で購入。
英国で、のちにボクシングになる格闘競技が、田舎で行われていたのが次第に都会でも人気が出て学校教育にも用いられるようになってゆくなかで、ルールが整備され、商業化されて・・・といった歴史的な経緯が紹介されていて興味深かった。さらに、ソビエトが成立したとき、こうした資本主義社会のスポーツを採り入れるべきかどうか議論があり、推進派は、血なまぐさい戦いという要素だけでなく、健康に役立つことなどを並べたてたことも紹介されていた。
これらすべてのことを、中国武術の近代以降の歴史は100年から200年ぐらい後れて辿っているようにも思える。(中国武術という文化が、ボクシングより劣っているという意味ではない。)
この本、膨大な図版や文学作品を題材にしていて、翻訳するのはとてもたいへんな作業であったと思う一方、翻訳はやや生硬で、意味を理解して翻訳されているのか疑問に思う部分もあった。たとえば、P491で黒人の「言語形式」の例としてあげられている「よびかけの反応」は、普通、ゴスペルとかに見られる「コールアンドレスポンス」のことだと思うので、そう訳すのが一番わかりやすいと思う。翻訳がわかりにくいのは、修飾語が多用されている原文のスタイルにもクセがあるのだと思うけど、たとえば「『パブリック・オピニオン』は、アンチ・ユダヤを表明した汚職をなどを暴く新聞だった。」などという文は、どの語がどの語を修飾しているのかわからず、いちいちそういうことを想像で補いながら読み進めるのはとても疲れた。
また、本文と図版のズレ、同一人物名の表記の不一致、若干の初歩的な漢字の変換ミス(×「回が」⇒〇「絵画」P.500)が気になった。